劣等感ばねに医師目指す 吃音~きつおん~リアル(1) 菊池良和(九州大病院・吃音外来医師)

西日本新聞

吃音~きつおん~リアル(1)劣等感ばねに医師目指す(イラスト・大串誠寿) 拡大

吃音~きつおん~リアル(1)劣等感ばねに医師目指す(イラスト・大串誠寿)

 初めまして。九州大病院(福岡市東区)耳鼻咽喉・頭頸部(けいぶ)外科の菊池良和と申します。これから、吃音(きつおん)についてつづっていきます。

 吃音とは、話すときに流ちょうに言葉が出ず、最初の音を繰り返したり、引き伸ばしたり、詰まって言葉が出なかったりする症状です。例えば、「ぼ、ぼ、ぼ、僕は」「ぼーーーくは」「……僕は」という話し方になります。この症状のある人は100人に1人といわれ、日本では120万人、世界には7千万人もいます。

 私は3歳頃から吃音症がありました。小学校での健康観察、音読、発表、号令、1分間スピーチ、学習発表会などで声がすらすらと発せず、悩んでいました。「何で自分だけ声が出なくなる時があるのか」と、悲しくなることもありました。

 中学生になると、吃音に劣等感を抱くようになっていました。「病院で相談したい」と思っても、当時は家族と吃音についてオープンに話したことはなく、タブーだと捉えていました。そもそも「吃音」という言葉さえ知らず、「どもり」というものだと受け止めていました。小学生までは「ぼ、ぼ、ぼ、僕は」となってしまうどもりだったのが、次第に声が出なくなる違う病気になってしまったのだと不安でした。

 「病院に行けば何とかなるのではないか」。そう思うけど、行けない。「病院に行きたい。行きたい。病院に行くには-」。いろいろ考えた結果、「分かった。自分が医者になればいいんだ」。中学1年生でそう気付きました。

 思うように話せない自分がコンプレックス。それをばねに人一倍勉強し、鹿児島県の私立難関高から九州大医学部へ。目標通り医師となり、現在41歳。九大病院で「吃音外来」を開いて、幼児から高齢者までさまざまな方を診て、お話しさせていただいています。

(九州大病院医師)

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