【ラガーマン記者が読み解くW杯】ゼロからラグビー(4)いざ、ロシア戦 「武骨な男たち」の背後取れるか 

西日本新聞 入江 剛史

ワールドカップ日本大会の開幕戦に先発で起用される流選手(中央手前)=8月 拡大

ワールドカップ日本大会の開幕戦に先発で起用される流選手(中央手前)=8月

 ラグビー日本代表(世界ランク10位)は20日、ワールドカップ日本大会の開幕戦でロシア代表(同20位)と戦う。目標のベスト8以上を達成するためには絶対に負けられない一戦だ。

 昨秋のロシア戦では32対27とかろうじて逆転勝ち。開幕戦という異様な緊張感とも戦わなければならない日本にとって、挑戦者のロシアは脅威だ。ラグビーを見たことがないという人にも、できるだけ分かるように見どころを紹介したい。

 ラグビーのグラウンドは横約70メートル、縦約100メートル。1チームに15人いるが、防御側は全てのスペースを守りきることはできない。2、3人が密集に入り、相手キックの警戒で別の2、3人が大きく後方に下がる。攻撃側は空いたスペースをどう見つけ、突くかが重要になる。

 フィジカルが強く、武骨なロシア選手たち。背後のスペースが狙えそうだ。

 攻撃側は、スクラムやラック(地上のボールの上を敵味方で押し合う)などの密集から、斜めに下がるようにラインをつくる。後方にパスし、受け取った選手が走って前に出ることで、チームとして前進を図る。

 これに対し防御側は、多くの選手が密集の後方に横一線のラインをつくる。密集からボールが出た瞬間、そろって一気に前に上がって相手との間合いを詰め、タックルで倒す。

 ロシアの守備は、その防御ラインが前に出るスピードが速い。ただ、横一線というわけではなく、密集に近い内側の選手よりも先に外側の選手が飛び出す。攻撃を内側に追い込み、個々のタックルの重さを生かして仕留めるイメージだ。

 ただ、それはもろ刃の剣でもある。横一線だったロシアの守備陣には前後の段差ができるため、外側の選手の背後にスペースができやすくなるのだ。

 日本は昨秋のロシア戦で司令塔のスタンドオフ(10番)の田村選手が、飛び出した外側のロシア選手の背後にボールを蹴って転がし、フランカー(6番)のリーチ主将が拾ってトライ。8月にロシアに大勝したイタリアも、このスペースを狙っていた。

 日本は大外の左右のスペースに、快足のウイング(11、14番)のレメキ選手と松島選手、さらに突破役のリーチ主将とナンバーエイト(8番)の姫野選手を置くことが想定される。パスやランでもロシア選手の背後をつく戦いがみられそうだ。

 ロシアの攻撃はどうか。日本陣地に深く入り、強靱(きょうじん)な肉体のFWが密集周辺を何度となく突進してトライを奪いにくるはずだ。

 日本としてはまずキック戦で優位に立ってロシアを自陣に入れず、相手陣で多くの時間を戦いたい。ゲームの要となるスクラムハーフ(9番)には、相手の背後にスペースを見つけてキックを落とせる流選手を先発で起用する。

 ロシアは敵陣に入ろうとして、密集後方のスクラムハーフなどからボールを高く蹴り上げ、落下地点まで走り込んだ別の選手が飛んで競り合ってくる。ボールをキャッチすれば、そこを起点に攻めるし、相手に捕球を許しても、強いタックルで倒して、ボールを奪いにいく。

 日本は昨秋のロシア戦と同様に、タックルされても倒れにくいフォワード(FW)を1人下げて対応するだろう。競り合いの末、しっかり日本がボールを確保できるかどうかが焦点だ。

 最後に、日本FWがいかに献身的にプレーするかがカギとなる。強力なロシアの突進に一歩二歩と後退せず、しっかり2人がかりで止められるか。フランカー(7番)のガジエフ選手など、倒れた相手に絡んでボールを奪うのが得意な選手もいる。攻撃でも突進する選手を孤立させず、すぐ別の選手がフォローにつかねばならない。

 開幕戦の勝利へ-。その時が刻々と迫る。(入江剛史)


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 いりえ・つよし 福岡高でラグビーを始め、早稲田大でスクラム最前列のプロップとして公式戦出場。西日本新聞入社後は旧朝倉農業高(福岡県)、福岡高、大分東明高などでコーチを務める。ラグビーワールドカップ日本大会を1年後に控えた昨年夏、九州で唯一、キャンプ地にも試合会場にもなっていない佐賀に赴任。ただ、小学生の息子が佐賀でラグビーを始め、週末の練習が楽しみで仕方がない。録画した試合を見ながらの晩酌がほぼ日課。46歳。

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