「貧者の核兵器」…

西日本新聞 オピニオン面

 「貧者の核兵器」。化学兵器や生物兵器をこう呼ぶ。材料の入手が容易で、簡単な技術や設備で製造できる。核兵器よりはるかに安価な大量殺傷兵器だからだ

▼大国が持つ核兵器に対抗するため、独裁国家やテロ組織の開発・所有が懸念される。過去には、第1次大戦で大量に使用され、甚大な被害を出した。イラクの旧フセイン政権は、クルド人住民約5千人の殺害に使った。日本でも地下鉄サリン事件が起きた

▼「貧者のミサイル」と呼ぶべきか。サウジアラビアの石油施設攻撃に使われたとみられる無人機のことだ。爆弾を積み、遠隔操作で標的に突っ込む。低空を飛べばレーダーに探知されにくい。犯行を主張する武装勢力が所有する無人機は1500キロを航行できるというから、能力はミサイル並みだ

▼ただし、巡航ミサイルが1発1億5千万円以上とされるのに対し、無人機は1機160万円程度とか。テロ組織には極めて有効な武器になりかねない

▼先般の小欄で、原発はテロに弱いことを証明しようと、環境保護団体が小型無人機(ドローン)を衝突させた事件を紹介した。もし本物の攻撃だったら…と書いたが、現実のものとなった

▼周囲を見回せば、ドローンはもう珍しくない。離島や山間地への配達、被災地の状況把握など、用途は限りなく広がりつつある。その便利な機械を恐ろしい兵器にさせないよう、規制や対策の強化も必要だろう。

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