被災空き家 どうする 畳や家財道具放置も 8月の大雨浸水

西日本新聞 佐賀版 古賀 英毅

 8月の記録的大雨で浸水被害に遭った家屋の復旧作業が進む中、空き家の畳や家財道具などの処理をどうするか、という問題が武雄市などで浮上している。所有者の行方が分からない建物では処理が難しく、ごみとなって内部に放置される可能性があるからだ。周辺住民からは衛生面などから心配する声も出ている。

 多くの建物が被災した武雄市朝日町の高橋地区を訪れた。点在する空き家の一つは窓ガラスの一部が割れたままになっている。隣に住む女性(61)は「遠くに住む子供さんが見に来て、ごみがいっぱいあると話していたけど…」と語る。内部が整理されたかどうかは不明。「衛生面が心配」と顔を曇らせる。

 近くの土間がある白壁の家屋では、80代の夫妻が片付けに当たっていた。2年ほど前に男性の姉が死去し、今は住む人がいない。夫妻は佐賀市から2、3日に1度、足を運んでいるという。出入り口の戸を外して屋内を乾燥させていたら、ボランティアが手伝ってくれたことも。男性は体の調子があまり良くないが、「そのままにしておくわけにはいかない」と話した。

 所有者の許可がなければ行政も建物に立ち入りはできない。家財道具などは所有者の「財産」であり、水没したとしても勝手に片付けられない。所有者以外が処分できるのは、建物の外に出された分だけだ。

 周辺の住人が所有者の情報を市に知らせても、転居先不明で連絡がつかない場合もある。高橋地区の中村芳郎区長(73)は「ぬれたごみが中で腐敗することもあるだろう」と心配する。実際、「臭ってくる」との苦情もあるそうだ。

 所有者の手掛かりがない場合は2015年施行の「空き家対策特別措置法」に基づき調べることになるが、調査には時間がかかる。市住まい支援課の野口敦秀課長は「運良く見つかって改善の連絡ができればいいが、相続人が複数いたりすると対応が難しくなることもあるだろう」と話す。市は居住家屋の支援を優先しており、浸水被害を受けた空き家の数などは把握できていないのが現状だ。(古賀英毅)

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