どこまで南筑後? 5市町、8市町…県機関でも違い 生活感と違うけど不便なし

西日本新聞 筑後版 吉田 賢治

 「南筑後」と聞いて、皆さんはどの範囲を思い浮かべるだろうか。筑後地区南部の複数の市町を管轄する県の出先機関が「南筑後」という名称を使うケースが多い。ただ機関によって構成する市町の数はばらばらのようだ。「南筑後」の区分けを巡るあれこれを探ってみた。

 調べてみると「南筑後」の最大の範囲は大牟田、みやま、柳川、大木、大川、筑後、広川、八女の計8市町だった。県の南筑後教育事務所は、これらの8市町を所管する。南筑後保健福祉環境事務所の範囲は現在7市町だが、来年4月に大牟田市保健所の機能が移管されて8市町に増える。

 県の出先が全て「南筑後=8市町」ではないからややこしい。南筑後県土整備事務所と、農業関係の南筑後普及指導センターは、南部の5市町をカバーする。筑後、広川、八女の3市町の範囲には「八女」を冠した別の出先がある。

 県広域地域振興課によると、県は2009年度、地域振興に役立てるため、通勤通学の人の動きや、地理・歴史的経緯を踏まえ県内を15の生活圏域に分けた。筑後南部8市町は有明(大牟田、みやま、柳川)、八女・筑後(八女、筑後、広川)、久留米(大川、大木)の3圏域に離れ離れになった。ここでは「南筑後」の名は出てこない。

 県の組織を所管する人事課にも尋ねた。09年度には出先機関の再編があった。この際、南筑後保健福祉環境事務所と南筑後県土整備事務所は、既にあった南筑後教育事務所を参考に名付けたことが分かった。ただ両機関とも8市町全部をカバーしていない。その点を聞くと「当時、どこまで厳密に吟味して名付けたかは不明だ」との回答だった。

 ちなみに南筑後教育事務所は、1983年度の再編で「北筑後」と分かれて誕生したという。区域の割り振りは学校数や教員数などを勘案したという。

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 新たな疑問も湧く。県の広域地域振興圏域の一つであり、筑後南部でよく聞く「有明」という表現だ。

 国の構想に基づく「有明圏域定住自立圏」は大牟田、みやま、柳川と熊本県荒尾市、南関町、長洲町の計6市町でつくっている。

 コミュニティー放送局を運営する第三セクター「有明ねっとこむ」に出資するのは大牟田、みやま、荒尾の3市。火葬施設などの一部事務組合「有明生活環境施設組合」は柳川、みやまの2市で構成する。「有明」の範囲は「南筑後」よりもばらついている印象だ。

 「有明」は会社名や商品名など民間で使うケースも目立つ。「南筑後」を使う例は「有明」より少ないが筑後市には電器店「ユーデン南筑後店」がある。代表の猪口勝泰さん(59)は「市の南部に所在することなどが理由で公的機関の名称とは関係ない」と話す。

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 記者が大牟田支局に着任して1年。「南筑後」や「有明」と聞くたびに「どの範囲なのか」と戸惑ってきた。疑問を大牟田市幹部にぶつけると「生活感として八女や大川が南筑後というのは疑問だなあ」との意見。「有明には、やはり荒尾や長洲は含まれる」とも。県出先の「南筑後」の範囲がばらつくことによる業務上の不便はないという。

 八女市にも尋ねた。広報担当者は「市民は、八女が南筑後に含まれるという意識は薄いのでは」。大牟田市と同じ認識だった。

 結論として「南筑後」や「有明」に明確な定義はない。郡の名前のような正式な区域とは言えず、ばらばらでも何の問題もないのだろう。「こんなことを気にする自分がおかしいのか」と自嘲してしまった。 (吉田賢治)

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