パワースポットの魅力堪能 鬼の石段、たたき地蔵… 豊前市・求菩提山

西日本新聞 北九州版 浜口 妙華

 豊前市の国指定史跡、求菩提山(くぼてさん)(標高782メートル)。九州を代表する修験道の山で、明治初期まで山伏が修行をしながら生活をしていた。一帯にはパワースポットを巡る山歩きコースがあるという。パワースポットと呼ばれる全国の神社や寺を参拝し、御朱印をいただくのが好きな自称“御朱印ガール”の私にとって、ほってはおけない。いざ、魅惑の山へ-。

 豊前市によると、求菩提山の起源は526年とされ、猛覚魔卜仙(もうかくまぼくせん)という人が、大己貴神(おおなむちのかみ)のほこらを建て祭ったのが始まり。720年に行善和尚が求菩提山護国寺を開き、平安末期には天台宗の僧、頼厳(らいげん)が修験道の法式を整えたという。山伏の家が約500軒あり、「一山五百坊」といわれるほどのにぎわいをみせたこともあったという。

 体験したコースは、求菩提山を周回する3・4キロ。スタート地点の標高550メートルにある座主坊園地(ざすぼうえんち)駐車場に着いた。ここから782メートルの頂上まで登るのだが、山登り経験の少ない私はひるむ。案内してくれた「豊前市森の案内人の会」の東里美さん(46)と同市職員の大友あやかさん(41)が「休みながら行くので大丈夫ですよ」と励ましてくれた。

■プロが自主トレに

 コースでの見どころは約30カ所。階段を上ると、山伏が暮らしていた「岩屋坊」があった。1872(明治5)年の修験禁止令によって山伏が山を去り、現存するのは2軒のみ。さらに進むと、角塔婆(かくとうば)と呼ばれる高さ66センチの石塔があった。「これから聖域に入る目印ですよ」と東さん。すぐ先には獅子の顔をした「獅子の口」があり、口から湧き水が流れている。水飲み場で、手と口を清めたという。

 歩を進めると、卜仙が鬼を退治した時に鬼の霊を祭ったとされる「鬼神社」。さらに「国玉神社中宮」があった。中宮から「国玉神社上宮」までを結ぶ石段は「鬼の石段」と呼ばれ、850段余り。鬼が一夜で作ったとの伝説があり、傾斜は最大で40度もある。「自主トレで訪れたプロ野球のソフトバンクの選手がここを走って登ったそうです」と東さんが教えてくれた。

 鬼の石段を20段ほど登ると「願かけ地蔵尊」があった。ここは大友さん一押しの場所。友人が結婚を願ったところ、とんとん拍子で決まったとか。別名「たたき地蔵」とも呼ばれ、体の不調な部位と同じ地蔵の部位をたたくと治るらしい。頻繁に参拝していた同市の女性は、脳梗塞で2度倒れたがすぐに回復したほどの御利益があったとか。

■何だか気持ちが…

 急な石段に息が上がる。そんな時、階段を下りる飯塚市の男性(70)とすれ違った。「物音一つしないほど静かなところが気に入っているよ」。気さくに話し掛けてくれたが、笑顔で応える余裕すらなかった。30分かけてようやく上り終えると、汗がびっしょりだった。

 ここからは下りだ。山伏が厳しい修行に臨んだ五つの窟を見た。中でも、普賢窟は、ほこらの後ろにある大きな崖の割れ目から国宝の銅板法華経33枚が発見された場所と伝えられている。ほこらの後ろに回って割れ目に耳を近づけると、地の底から響くような音が聞こえる。「梵音(ぼんおん)」といい、聞き続けると魂が清められるという。

 必死で歩いた約4時間。足は痛いが、何だか気持ちがいい。これがパワースポットの効果なのか。そう思わずにはいられなかった。

   ◇    ◇ 

 同市森林セラピー実行委員会では10~12月に求菩提山一帯で体験イベントを開催。参加者を募集している。同市観光物産課=0979(82)1111。  (浜口妙華)

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