大牟田市長選、元市長出馬表明の舞台裏 現役官僚擁立かなわず

西日本新聞 筑後版

 任期満了に伴う大牟田市長選(11月10日告示、同17日投開票)は、8年ぶりの選挙戦になる見通しとなった。新人で元県環境部長の関好孝氏(60)が立候補の意向を表明して約1カ月たった20日、元市長の古賀道雄氏(75)が記者会見を開いて出馬を表明した。告示まで2カ月となる中で、何が起きていたのか。舞台裏を探った。

 今月初め、市長選に関する衝撃情報が関係者の間を駆け巡った。「かつて大牟田で副市長を務めた中央官庁の現役官僚が、急きょ11日に出馬表明の記者会見を開く」。古賀元市長が水面下で擁立に動いているとうわさされる人物だった。

 地元経済界が推す関氏が8月23日に出馬表明し、地元の保守系組織が支援態勢を固めつつある真っ最中のこと。「50代で関氏より若いというアドバンテージはあるが、強力な組織の支援が得られない中で、将来もあるポストを捨てて危ない橋を渡ることはない」。そんな見通しが語られていた。

 ただ「ひょっとすると」と思わせる伏線はあった。「いずれは市長になって働きたい」。現役官僚が副市長時代に、そんな思いを周囲に隠さなかったことだ。

 関氏の出馬表明翌日の24日夜、現役官僚は大牟田入り。古賀元市長、副市長時代に親しかった経済人や市議、市幹部らと小料理店で酒席を囲み、2次会はスナックでカラオケに興じた。中尾昌弘市長が8月21日に2期目不出馬を表明する前から決まっていた宴席とはいえ、元市長らが「ぜひ出馬を」と迫ると、現役官僚は全否定はしなかった。

 ただ本人が出馬の決意を固めることは最後までなかった。宴席でも参加者全員が推したのではない。現役官僚の「記者会見情報」を聞き、ある知人は忠告した。「あなたが出れば市を二分する激戦になる。自身がたたかれる相当な覚悟がいる」。「記者会見情報」の出所は不明。結局は虚偽情報だった。

 9月10日、東京。現役官僚は大牟田の保守政界の重鎮、古賀誠・元自民党幹事長を訪ねた。地元の藤丸敏衆院議員は「負け戦はするな」と暗に出馬見送りを促したという。11日には熊本出張に合わせて大牟田入り。「出馬しない」という結論を伝えるためだった。

 その言葉を聞いた古賀元市長は身を奮い立たせた。「何としても無投票は避けたい」。市長引退後に「政治塾」を自ら主宰。「選挙は民主政治を機能させる基盤」との信念があった。「自分が出るしかない」。最後の一人と懸けた人物の擁立が実現せず、思い詰めていた。

 16日、古賀元市長は親しい知人らに、出馬意向を伝えるあいさつ回りを始めた。関氏を支持する経済界関係者は、この動きを察知すると絶句した。「候補者擁立に動いているのは知っていた。まさか本人とは…」

 大牟田に再び衝撃が走った。「晩節を汚すことにならないか」。20日の出馬会見前、周囲の心配をよそに古賀元市長は言った。「まだ晩節とは思っていない」

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