“登山弁護士”山の写真集 筑紫野市の浦田さん出版 出張の合間に撮影

西日本新聞 ふくおか都市圏版 阪口 由美

 ハンセン病国賠訴訟の西日本訴訟副代表や薬害肝炎九州訴訟共同代表を歴任した浦田秀徳弁護士(60)=ちくし法律事務所、筑紫野市=が、山を歩き、出会った春夏秋冬の「絶景」を収めた写真集を出版した。全国の訴訟や会議のための出張ついでに山に登る機会も多く「浦田のスーツを裏返すと登山服になるらしい」という友人の冷やかしから付けたタイトルは「スーツを裏返して~弁護士、山の絶景に会いにいく」。撮影時の思い出も添えた約80枚が、見る人を山に誘う。

 九州大在学中はワンダーフォーゲル部に所属、南アルプス全山縦走を経験した。司法試験受験で部活をやめ、弁護士になった後も足は遠のいていたが、薬害肝炎訴訟が全面解決に至った2008年、50歳を前に日本百名山挑戦を思い立つ。

 きっかけは、誘われて登った奈良の大峰山だった。英彦山(福岡、大分)などと並ぶ日本三大修験道の一つ。岩や滝の行場で汗を流すうち、すがすがしく、身も心も澄み渡っていく感覚に震えた。

 それまでは、3千メートル峰に1人で挑んだことはなかったという。低山から始めて、少しずつ。難関の一つ、岩稜(がんりょう)そびえる剱(つるぎ)岳(2999メートル)も「君なら行けるよ」という先輩弁護士の「根拠不明な」励ましを受けて初登頂。仕事と山は、いつしか人生の両輪となっていった。「仕事の緊張と、山の緊張。それを行き来することで、相互に充実感が増すいい関係なんです」

 14年9月に百名山を登り終えると、コンパクトカメラを一眼レフに持ち替え、より困難な縦走路や雪山も目指した。百名山という枠を超えたとき、山の楽しみはさらに深まった。

 会員制交流サイト(SNS)への写真投稿を続けるうちに友人たちから勧められ、還暦の記念にと自費出版を決めた。選択の基準は(1)よそでは見られない素晴らしい景色(2)心揺さぶられたもの(3)生きるとは何か、人の幸せとは何かを考えさせられたもの-。登山家でも写真家でもない、人の生きざま、社会の問題に向き合ってきた弁護士として見つめた山々への思いが込められている。

 完成間近になった7月末、北アルプスの烏帽子岳(2628メートル)で、ベテランでもなかなか出会えないオコジョの愛らしい姿を捉えた。残念ながら収録できず、すでに第2集の構想に入った。176ページ、2千円(税抜き)、500部出版。ちくし法律事務所=092(555)7223。 (阪口由美)

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