豚骨再利用臭 住民の苦情相次ぐ 産学官事業化 太宰府の工場

西日本新聞 一面 前田 倫之

 福岡名物の豚骨ラーメン店から出る豚骨ガラを再利用し、肥料などを製造している福岡県太宰府市にある工場から発生する臭いに、近隣住民や事業者の苦情が相次いでいる。市が臭気を測定すると、基準値の2倍近い数値を検出。市から厳重注意を受けた会社は改善計画をまとめ、対策を講じるが、今月も悪臭を訴える住民らの相談が市に寄せられている。

 「臭くて窓を開けられない。洗濯物も部屋干しに変えました」。今月中旬、工場近くの主婦(45)は肩を落とした。市によると、工場が稼働した2月以降の苦情は延べ約60件。隣の同県宇美町の住民からも多い。動物が死んだような臭いがする-。臭いの強さは風向きや時間帯で異なり、通報を受け警察が出動する事態にも発展した。

 市や県などは口頭で改善を求め、悪臭防止法に基づく指導権限を持つ市が6月、敷地境界の臭気指数を測定。法の規制基準値を超えていた。会社によると、豚骨ガラを乾燥させる工程などで臭いが発生していると考えられるという。会社は7月中旬、市に改善計画を提出。8月末に追加対策を伝えた。敷地内の清掃強化や、乾燥装置の配管への脱臭セラミック設置が盛り込まれた。県によると稼働を中止させる権限はなく、法律にも規定されていないという。

 豚骨ガラの再利用は、県の外郭団体の県リサイクル総合研究センター(北九州市)を中心に2004年から産学官で共同研究。ラーメン店側は有料で焼却処分する廃棄物を原料として買い取ってもらえる利点があり、県も06年から「福岡とん骨粉」として大々的にPRしてきた。

 だが共同で事業化を進めた企業が手を引き、同社が豚骨ガラの回収から乾燥、粉砕までを一手に担うことになった。工場があった同県宮若市でも悪臭が問題となり、県や市からの指導は計約90回。太宰府市への工場移転を決めた。

 同社は約70軒のラーメン店と取引があり、処理量は1日約2トン。社長は「悪臭が出ているなら申し訳ないが、福岡に貢献したい一心で続けてきた。行政の手助けはなく、資金的にも苦しい中、どうやって悪臭をゼロにすればいいのか」と語った。 (前田倫之)

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