駆け込み需要、限定的 弱い個人消費、先行きに不安

西日本新聞 総合面 古川 幸太郎

 10月1日の消費税率10%への引き上げを前に、目立った駆け込み需要が起きていない。テレビや宝飾品などの売れ行きは伸びている一方、住宅や自動車は前回の2014年増税時より動きが鈍い。政府は個人消費が落ち込んだ前回の教訓を踏まえた景気対策を講じており「反動減は起きない」と強気。だが「そもそも個人消費自体が弱い」との見方もあり、景気の先行きは予断を許さない。

 「増税直前、大決算セール」「今がチャンス」。各地の家電量販店では駆け込み需要を狙ったセールが活発だ。有機ELテレビや冷蔵庫など高額な商品が売れているという。

 ただ市場調査会社BCNによると、9月第1週のテレビ販売台数は前年の同時期と比べて77・4%増えたものの、家電全体では前回を下回っている。8月の国内新車販売台数も前年同月比6・7%増にとどまり、前回の18・4%増に届かない。住宅販売も「少し出ているが弱い」(アナリスト)という。

 一部で駆け込み需要があるものの、前回よりは弱いのはなぜ-。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの藤田隼平研究員によると、駆け込み需要は1997年の増税時は1兆3千億円で、2014年は3兆3千億円。今回は2兆6千億円程度と前回より小さいと予想する。

 藤田氏は、理由として(1)軽減税率やキャッシュレス決済によるポイント還元の効果(2)税率幅が小さく、買い替えサイクル時期の影響もある(3)自動車税制の変更-などを指摘。「増税に伴う家計負担による消費への影響は、前回の4分の1程度にとどまる」として駆け込み需要が限定的とみる。

 一方、消費が既に弱まっているとの見方もある。ニッセイ基礎研究所は、14年の前回と、今回の増税前後の個人消費をそれぞれ指数化した。増税の3年前から駆け込み需要が本格化する増税半年前にかけての消費の伸び率を比較したところ、14年は年平均で2・5%伸びたが、今回は0・7%にとどまったという。

 内閣府によると、消費マインドを示す消費者態度指数は8月まで11カ月連続で低下しており、消費者心理は悪化のままだ。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は「前回のような反動減は抑えても、もともとの消費の実力が前回よりも弱く、増税後も消費の弱さが長引く可能性がある」と指摘する。 (古川幸太郎)

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