かんぽ営業自粛、局員は 待機命令「やることない」 顧客対応「1000件以上も」

西日本新聞 社会面 宮崎 拓朗

 かんぽ生命保険の不正販売問題を受け、保険営業を自粛する郵便局。西日本新聞には営業担当の局員から「上司から事務所での待機を命じられた。毎日やることがない」との声が多数寄せられている。一方で現場への指示は地域によって異なるといい、千件以上の顧客対応を命じられた局員もいる。不正の内部調査が進む中、「末端の局員だけでなく、過剰なノルマを強いた幹部の責任も問うべきだ」との不満も出ている。

 「一日中、携帯をいじって時間をつぶしている」。四国の局員は愚痴をこぼす。顧客からの問い合わせがない限り、局内の事務所に待機するよう指示されているという。

 勤務時間中なのに勝手に自宅に帰ったり、テレビを見たり、寝転んで過ごしたりする局員も。「顧客からの信頼を回復するための取り組みをやるべきなのに、研修用のDVDを見せられただけ。現場の士気は下がる一方だ」と現状を明かした。

 「加入されている保険に問題はありませんか」

 関西の局員は毎日数十件、顧客に電話する。不正販売に怒る顧客から怒鳴られることもある。連絡が取れない顧客は数百人いるが、上司からは「今月中に終わらせろ」とハッパを掛けられている。

 東海のある郵便局では、1人当たり約千件の顧客宅への電話や訪問を課せられているが、「不可能な件数で、真剣にやっている人はほとんどいない」(局員)。乗り換えの際に新旧契約の保険料を二重払いさせた顧客宅を訪れ、口止めをする悪質な事例も起きているといい、局員の一人は「郵便局への不信感が高まるだけだ」と憤る。

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 営業担当の給与には2015年から成果主義が導入された。基本給を減額する一方、保険契約を取った際に支給される手当金を増額した。

 現在は営業自粛中のため、手当金が得られない。逆に、解約に伴って手当金の返納を求められるケースもあり、「手取りが10万円ぐらいになった」と話す局員もいる。将来への不安から、若手を中心に退職者も増えているという。

 日本郵便は労働組合からの要求を受け、基本給の引き下げ分の補填(ほてん)と全契約調査に伴う1日千~1600円の手当金を支給する暫定措置で、減収分を補うことを決めた。

 「生活が助かる」と歓迎する声もあるが、ある局員は「不利益となった顧客への対応も終わってないのに、真っ先に局員の給与を補填するなんてどうかしている」と首をかしげる。

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 かんぽ生命と日本郵便は顧客への意向調査を進めており、9月中に中間報告を公表する。かんぽ生命の植平光彦社長は7月10日の記者会見で「調査の中で従業員の法令違反が判明した場合には厳正に対処する」と述べており、不正を認定した局員を処分する方針だ。

 ただ、一連の不正販売の背景には過剰な販売ノルマがあったとされており、局員の間には「トカゲのしっぽ切りにされるのでは」との不安が広がる。

 九州の局員は「一部の幹部は成績が上がらない局員に罵声を浴びせ、土下座まで強要した。彼らがおとがめなしだったら、何も変わらない」と訴える。 (宮崎拓朗)

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