モンゴルは横綱白鵬関ら大相撲力士の母国として日本人になじみが深い…

西日本新聞 オピニオン面

 モンゴルは横綱白鵬関ら大相撲力士の母国として日本人になじみが深い。親日国でもある。関係良好な両国だが、1939年に武力衝突した過去がある

▼「ノモンハン事件」と呼ばれる。旧満州(中国東北部)とモンゴルの境界付近で起きた。旧日本軍はソ連(当時)モンゴル連合軍の戦力を侮り、敗れた。「事件」と呼ぶことで敗北の実態を隠したが、作家の司馬遼太郎さんは「戦闘というより一方的虐殺」と形容したそうだ

▼内実もひどかった。現地部隊の攻撃計画を知った東京の大本営は「作戦中止」を求め、命令を直接伝えるため幹部を派遣した。部隊は「到着前に」と急ぎ攻撃を始めたという

▼包囲され孤立した陣地から、120人の兵と無事に脱出した隊長がいた。待っていたのは「無断撤退」の非難。隊長は短銃を渡され自決を強要された

▼敵情を分析しないままの作戦計画。独断で暴走する前線と、徹底した生命軽視。太平洋戦争で指摘される旧日本軍の体質が既に露呈している。司令官は責任も問われずに栄進。教訓は生かされず、後の戦場で同じ過ちを繰り返した

▼4カ月間の戦いで日本側の死傷者は2万人。モンゴル軍も大きな被害が出た。「大地は神聖なもの」との宗教的理由で、身を隠す壕(ごう)を掘るのを嫌ったという。停戦から今月で80年。兵士のものとみられる人骨が今も出てくるという地で先日、双方の戦死者を悼む法要が営まれた。

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