ゲーム障害 予防や治療法の確立急げ

西日本新聞 オピニオン面

 若年層を中心に深刻化している過度なゲームへの依存に警鐘を鳴らす決定と評価したい。

 インターネットのオンラインやテレビのゲームにのめり込むあまり、日常生活や健康に深刻な影響が出る。そんな状態を世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」とみなし「国際疾病分類」に加えることを決めた。

 新たな疾病分類は2022年から、世界中の医療関係者が診断や調査で使用する。「ゲーム障害」はアルコールやギャンブルなどの依存症と並んで、治療が必要な疾病となる。

 「ゲームの頻度や時間をコントロールできない」「日常生活でゲームを最優先する」「ゲームのために家庭や仕事、勉学に大きな支障が生じてもやめられない」といった状態が1年以上継続されると、ゲーム障害と診断される。

 テレビやスマートフォン、パソコンで遊ぶゲームは身近な娯楽として定着しているが、多くの弊害も指摘されてきた。

 厚生労働省研究班の17年度調査によれば、「ネットを使用しないとイライラする」といった病的なネット依存が疑われる中高生は全国で93万人に上ると推計される。7人に1人という高い割合である。特に男子にはオンラインゲームの利用が多いという。

 ゲーム依存が深まれば、睡眠不足や生活の昼夜逆転を招き、不登校や引きこもりにもつながりかねない。視力の低下や、長時間動かないことに起因する筋力の低下など、健康面の影響も懸念される。

 海外では、暴力的なゲームを長時間続けることで、攻撃性が高まるという報告もある。

 国もゲーム障害の実態調査や研究に取り組んでいるが、まだ緒に就いたばかりだ。国内の四つのゲーム業界団体も共同で調査研究に乗り出すという。

 日本には世界有数のゲーム市場がある。まずは行政や医療機関、企業が情報を共有し、丁寧に実態把握を行うべきだ。何より予防や治療法をできるだけ早く確立することが求められる。

 ゲーム依存が増えている背景には、若年層へのスマホの急速な普及がある。ただ、スマホの利用を大きく制限することは現実的ではないだろう。ゲーム自体を禁じることも難しい。

 大切なのは、スマホやゲームとの「適切なつきあい方」を身に付けることだ。

 子どもと話し合い、ゲームのプレー時間や頻度などのルールを決めてほしい。ゲームにのめり込むことによる心身への悪影響をしっかりと教えることも肝要だ。家庭や学校で、子どもをゲーム依存から守る取り組みに知恵を絞っていきたい。

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