葛藤越え日韓合同公演 筑後市 寝食共に連日ダンス稽古

西日本新聞 筑後版 丹村 智子

 日韓関係が急激に冷え込む中、福岡と韓国のダンサーによるダンスの合同公演が筑後市で行われている。韓国側から3人のダンサーが9月初旬に来日。「政治に左右されてはいけない」との思いを共有する福岡のダンサーと、寝食を共にしながら作品づくりに取り組む。滞在中は市民向けワークショップも開催し、一部の参加者は28日の最終公演に出演する。

 暗がりの中で降りしきる雪を見つめたたずむ人、天に救いを求めるように地をはう人-。黒い背景と垂れ幕、部分照明と紙吹雪を効果的に使い、日韓のプロダンサーと市民が、人の死が持つ意味や、悲しみを昇華する過程を表現した。23日に同市のサザンクス筑後であった公演。バレエやジャズダンスなどの既成のジャンルに収まらない「コンテンポラリーダンス」が独特で新鮮に映る。

 合同公演は昨年に続き2回目。地域の施設や文化資源を生かそうと、県や市、九州大谷短大などでつくる実行委員会が主催する。10日に韓国から3人のダンサーが来日し、福岡市の大島匡史朗さん(28)ら3人の日本人ダンサーと筑後市内のホテルに滞在しながら、連日稽古を積んできた。

 両国の関係が最悪と言われる中、韓国の振付師、李相勲(イサンフン)さん(37)は「来る前は正直ためらいがあった。何かあってはと両親も心配していた」と打ち明ける。

 ワークショップ参加者も当初は戸惑いもあった。久留米市のダンス講師安徳莉菜さん(26)は、練習の合間に韓国のダンサーに「今の日韓関係をどう思いますか」と直撃。すると「全然関係ないよ」と即答され、雲が晴れた気がしたという。福岡市東区の高校生品川ゆりさん(17)も韓国人から積極的に話しかけられ、「人同士の関わりが大切だと感じました」と話した。

 愛知県であった「表現の不自由展・その後」は、慰安婦を題材にした少女像の展示が問題視され中止に追い込まれた。海外でも活躍する大島さんは「あってはいけないこと。世界と関わる以上、どちらが正しいかではなく、理解できないこともあると受け止めることが大事」と力を込める。

 28日に九州芸文館で行われる最終公演の後には、観客が飛び入り参加できる李さんのダンスワークショップもある。李さんは「自分も日本のアニメを見て育ったし、日韓は情緒的にも共通点がある。触れ合いによる癒やしを体感して」と来場を呼び掛けている。 (丹村智子)

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