温暖化対策 将来世代に恥じぬ行動を

西日本新聞 オピニオン面

 地球温暖化対策の国際的な約束・パリ協定の運用が来年始まることを受けた「気候行動サミット」が、米ニューヨークの国連本部で開催された。77カ国が温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする長期目標を示したが、成果としては不十分だと言わざるを得ない。

 主役はむしろ、若い世代を代表して訴えたスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)だった。「私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない」-涙を交えながら怒りにも満ちた声を、世界中の大人は重く受け止める必要がある。

 いま世界で学校に通う若者が授業をボイコットし、温暖化阻止を求める運動が広がる。その火付け役がグレタさんだ。温暖化被害を受ける将来世代の異議申し立てに呼応するように、サミットは5年ぶりに開かれた。

 パリ協定は気温上昇を産業革命前から2度未満、できれば1・5度に抑える目標を掲げている。参加各国は自主的に削減目標を設定し、国連に提出するルールなのだが、実は各国が現在の削減目標を達成しても温暖化は防止できない。もう一段の踏み込んだ対策が必要である。

 サミットでは、長期目標とは別に当面の目標を上積みすると約束した国も70カ国に上った。こうした危機感を強める国は少なくないものの、温室効果ガスの大量排出国の動きが鈍い。

 排出量世界2位である米国のトランプ大統領はパリ協定からの離脱を表明している。サミットに顔は見せたが、発言はなかった。世界1位の中国やインドは協定順守の姿勢は示しつつ、対策の上積みはなかった。

 問題は米国や中国だけではない。1997年に京都議定書を取りまとめ、温暖化対策の旗振り役を務めた日本の存在感は小さくなるばかりだ。サミットに出席した小泉進次郎環境相には演説の機会すらなかった。

 今世紀後半のできるだけ早期に排出ガスを実質ゼロにするという日本の削減目標は、サミットで多くの国が表明した「50年排出ゼロ」から大きく見劣りする。石炭火力発電への依存も、国際的批判を浴びている。

 イノベーション(技術革新)が欠かせない温暖化対策を、多くの国は経済戦略に組み込んでいる。日本も早急に削減目標の上積みを検討すべきだ。

 温暖化に伴うとみられる異常気象は世界中で多発している。日本で相次ぐ想定外の風水害も例外ではないだろう。太平洋の島しょ国は海面上昇による水没の危機に直面している。

 将来世代に持続可能な世界を手渡すため、温暖化対策に確かな道筋を定める。現在を生きる私たち世代の義務である。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ