銭湯 くまモン一色に 熊本市の「世安湯」 外国人に日本文化紹介

西日本新聞 熊本版 和田 剛

 熊本県は26日、熊本市中央区世安町の銭湯「世安湯」を、県のPRキャラクターくまモンで彩った「銭湯くまモン」に改装した。12月16日までの期間限定。県内で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)などの観戦に訪れる外国人に銭湯文化を紹介する狙い。

 世安湯は2016年4月の熊本地震で煙突が折れるなど被災し休業を余儀なくされた。17年11月に営業再開し、富士山の壁画や、まきを燃やすボイラーなどが、昔ながらの銭湯の雰囲気を伝える。火、水曜定休。

 くまモンは浴場の壁や手おけ、ロッカーなどに描かれ、番台ではくまモン手ぬぐいなども販売する。世安湯を訪れた蒲島郁夫知事は「くまモンがジャックし、おもてなしする場になる。海外のみなさんにお湯の文化が広がる」と述べた。

タトゥーの取り扱いに違い 熊本県「おもてなしが目的」…識者「国籍で区別に疑問」

 熊本県が企画した「銭湯くまモン」では、「おもてなしシール」を体に貼った外国人に限り、タトゥー(入れ墨)がある人の入浴も認める。会場の世安湯はタトゥーを禁止しているが、外国人はタトゥー愛好家の割合が比較的高いとみて解禁。県は「期間限定の取り組みで外国の方のおもてなしが目的」として日本人は対象外としている。識者はタトゥーへの理解を広げる試みと歓迎する一方、「国籍による区別は良くないのでは」とも指摘する。

 シールには、くまモンの絵と「みなさんと銭湯に入れて嬉(うれ)しいです」の文字が並ぶ。縦14センチ、横9センチ。タトゥーを隠しても良いし、タトゥーがない場所に貼っても良い。周りの人を怖がらせない配慮という。

 皮膚科医でタトゥーの歴史に詳しい小野友道熊本大名誉教授は「外国人アスリートのタトゥーには寛容だが、身内のタトゥーを気にする人はまだ多い」として、日本人に根強く残るタトゥーへの抵抗感を認める。銭湯くまモンについては「国際交流の公的行事なら、日本人も一緒に入浴してタトゥーを自慢し合えば楽しいのに」と残念がる。

 一方、世安湯を経営する坂崎友治さん(56)は「地域によってタトゥーを簡単に受け入れられない事情がある」と現場の声を代弁する。世安湯も加盟する県公衆浴場業生活衛生同業組合の11の銭湯は全て禁止している。タトゥーを認めていた四つの銭湯が熊本地震後に経営不振で廃業したことから、坂崎さんは「仮に許可するとタトゥーがある人が集中し、常連客が入りにくくなる」という不安がぬぐえないという。

 タトゥー専門誌の元編集者で「タトゥー可」の入浴施設をインターネットで紹介する川崎美穂さん(46)=東京都=は「他のお客さんに配慮して入浴施設がタトゥーを禁止することは理解できる」とした上で、将来的には相互理解を広げてほしいと訴える。「タトゥーに誇りや願いを込めるのは日本人も外国人も同じ。タトゥーが苦手な人の立場や気持ちも考えながら、歩み寄りたい」(和田剛)

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