高齢者、スナックで笑顔 唐津の介護事業所連携 夜間外出支援

西日本新聞 佐賀版 津留 恒星

介護事業所のお年寄りたちが集うスナック「ZAZABY」。90歳の誕生日を祝ってもらった女性に笑顔が広がった=8月8日、唐津市 拡大

介護事業所のお年寄りたちが集うスナック「ZAZABY」。90歳の誕生日を祝ってもらった女性に笑顔が広がった=8月8日、唐津市

 唐津市の複数の介護事業所が連携して、施設に入所、通所するお年寄りを夜間にスナックに連れて行く取り組みを進めている。にぎやかな空間で人と触れ合い、気分転換してもらうことで、孤立感の解消や元気づくりにつなげる試みだ。参加事業所によると、利用者が昼間に食事に出ることはあるが、定期的に夜間外出する取り組みは県内でも珍しいという。

 午後7時すぎ、市内の繁華街にあるスナック「ZAZABY」に美空ひばりの曲が響く。マイクを握るのは、ソファに腰掛けた認知症のおばあちゃん。カウンターで枝豆とビールを味わうおじいちゃんもいて、スタッフが取り囲む。あちこちから笑い声が聞こえ、「乾杯!」の声が重なる。

 複数の介護事業所のスタッフが昨年10月、ZAZABYで飲んだときに「お酒を飲みに出るのが好きだった人も、施設に入ると好きなように行動できない。思いをかなえてあげたい」と意気投合したのがきっかけだ。

 市内の介護事業所3カ所が昨年11月に開始。各事業所が参加希望者を募り、車でお年寄りを送迎。スタッフがZAZABYで、お年寄りの移動に手を貸したり、飲み物を運んだりする。ZAZABYを営業する脇山美智子さん(63)も後押し。「少しでも立ち座りを楽にしてもらえたら」という思いから店内のトイレに手すりを設けた。

 90歳の誕生日を迎え、スタッフや利用者、男性客から拍手を浴びた松本絹枝さんは「この年になって、こんなに盛大に祝ってもらえて幸せ」。発起人の一人、介護事業所「小規模多機能型居宅介護セカンドハウス」(唐津市町田)代表の小塚洋さん(45)は「楽しい時間を過ごすことで気持ちも若くなれると思う」とほほえむ。

 高齢者の心理や行動に詳しい大阪大の権藤恭之教授は「施設に入った後に環境の変化で生活意欲が低下する人もいる。少しでも生きがいや楽しさを感じることが心身の健康につながる」と話す。

 スナックの集いは3カ月に1回で、これまでに4回開催。介護関係者の間で知られるようになり、参加事業所が増えているという。小塚さんは「地域と連携し、より高齢者が暮らしやすい町づくりにつなげたい」と語る。(津留恒星)

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