米農産物 TPP水準 日本車関税撤廃先送り 日米貿易協定

西日本新聞 一面 塩入 雄一郎 田中 伸幸

 【ニューヨーク田中伸幸、塩入雄一郎】安倍晋三首相とトランプ米大統領は25日、米ニューヨークで日米貿易協定の締結で最終合意し、共同声明文書に署名した。焦点だった農業分野では米側が要求した米国産の牛肉や豚肉の関税を環太平洋連携協定(TPP)水準まで引き下げ、日本市場を開放する。日本側が求めていた日本車や自動車部品にかかる関税の撤廃や削減は先送りされた。

 米国が日本車への適用を検討していた追加関税措置は協定履行中は見送られる見込み。2017年1月の米国のTPP離脱表明に端を発した日米の貿易協定交渉は、対米関係の安定を最優先した日本側の大幅な譲歩で決着した。

 協定は主に農産物や工業製品の関税について規定。米通商代表部(USTR)によると、日本は約72億ドル(約7800億円)分の米国産農産物の関税を撤廃、削減する。米国離脱以前のTPPで日本が米国に認めていたコメの無関税枠7万トンを撤廃することも盛り込まれた。両首脳はデジタル貿易に関する協定でも合意した。

 両国は近く正式な協定に署名。10月に始まる日本の臨時国会で協定案承認などの手続きを経て、来年1月1日にも発効する見通し。

 署名に臨んだ首相は「(協定発効で)間違いなく両国経済は発展する」と強調。トランプ氏は「米国の農家と畜産農家にとって大勝利だ」と成果を誇示した。

 米国が米通商拡大法232条に基づき、安全保障上の脅威として日本車への適用を検討していた最大25%の追加関税措置について、共同声明は「協定が履行されている間、その精神に反する行動を取らない」と記述。首相は「追加関税を課さないことは私からトランプ氏に確認した」として適用されないとの見解を示した。日本政府関係者によると、米国が日本車輸入の数量規制措置を発動しないことも両政府で確認した。

 共同声明では、自動車をはじめ今回の協定に盛り込まなかった物品関税などの取り扱いについて、協定発効後4カ月以内に協議して対象を詰め、新たな交渉を開始する意向も明記した。米国側は物品関税のほか、非関税障壁などを含む包括的な貿易協定締結を目指す考えだが、新たな交渉の開始時期は未定。

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