石綿被害「診断確定日から」 遅延金の起算巡り判断 福岡高裁判決

西日本新聞 鶴 善行

 アスベスト(石綿)が原因の肺がんによる損害が始まった時期について、医師の診断時か、その後の労災認定時かが争われた訴訟の控訴審判決が27日、福岡高裁であった。西井和徒裁判長は「肺がんの確定診断を受けた日が遅延損害金の起算日に当たる」と判断。元工場勤務の70代男性=北九州市=の訴えを認め、国側の控訴を退けた。

 原告弁護団によると、一連の石綿訴訟で遅延損害金の起算日を巡る高裁判断は全国初。判決後に記者会見した弁護団は「国には判決に従った和解の運用をしてもらいたい」と強調した。

 原告の男性は同市門司区にあった石綿製品の製造工場に勤務。2008年9月に肺がんの疑いを診断され、同年11月に診断が確定。10年2月に労災認定された。

 賠償金の利息に当たる遅延損害金は、損害発生がどの時点かで金額が変わる。国側は「労災認定時が遅延損害金の起算日に当たる」と主張していた。

 今年3月の一審福岡地裁小倉支部判決は「起算日は肺がんの疑いがあると診断された日」としたが、高裁判決は「疑いという診断では損害が生じたといえず、確定日から起算するのが相当」と指摘。その上で、国に1265万円の損害賠償と遅延損害金の支払いを命じた。

 男性は「国は争い続けず判決を受け止めてほしい」と要望。厚生労働省は「判決内容を精査し、対応を検討したい」とのコメントを出した。(鶴善行)

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