亡き師に届け本場のドラム 米国留学中の山近さん 3年ぶり佐世保JAZZ出演

西日本新聞 長崎・佐世保版 竹中 謙輔

 佐世保市出身で米国に音楽留学中のドラマー山近拓音(たくと)さん(21)が、10月6日開催の「佐世保JAZZ」に3年ぶりに出演する。ジャズの世界に導いてくれたのは、佐世保JAZZを草創期から支えた故山下ひかるさん。その遺志を継ぎ、ジャズの街・佐世保を盛り上げたい-。強い思いを胸にステージに上がる。

 山近さんは佐世保北高を卒業後、世界に通用するドラマーを目指し、米ボストンのバークリー音楽大で学んでいる。

 ドラマーだった父等さん(55)に影響され、小学4年でドラムを始め、すぐに才能を開花させた。「5年生の時に抜かれた。私がたたけないフレーズをたたき始めた」。等さんが10年ほど前の姿を思い起こす。

 ロックを含め幅広いジャンルを演奏していたが、小学6年の時、ジャズへの世界が開けた。その場所は、山下さんが佐世保市下京町で営んでいたジャズバー「いーぜる」。等さんと一緒にライブを体験して「ジャズという繊細な音楽に不思議と引かれた」。

 山近さんは、出演したミュージシャンにジャズピアニストの巨匠チック・コリアの「スペイン」をリクエストした。当時練習していた曲。場の流れでセッションに加わることになった。少年のドラムテクニックは耳が肥えた客たちを驚かせるのに十分だった。

 ドラマーとして活躍した山下さんは、地元の若い才能を喜び「君が来るのを待っていた」と山近さん親子に伝えたという。

 佐世保JAZZには中学2年から高校3年まで毎年出演し、観客を沸かせた。勇躍して米国へ渡り、腕に磨きをかけていた頃、山下さんの訃報に接した。2016年7月だった。

 山近さんは言う。「佐世保はジャズの街と言われるが、山下さんが頑張ってともしびをつないでいた部分が大きい。僕も若い世代に魅力を伝えたい」

 今年の佐世保JAZZは主催者の計らいで、小学生から高校生は無料で楽しめる。本場で身に付けたドラムを聞いてほしい。その音を天まで届けたい。

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 佐世保JAZZは29回目の開催。佐世保市三浦町のアルカスSASEBOで10月6日午後2時45分開演、終演は午後9時ごろ。

 出演は渡辺香津美ジャズ回帰プロジェクト▽ウラジーミル・シャフラノフ・トリオ▽佐世保ジャズスタディビッグバンド▽TOKUゲスト今陽子▽Eiko and Eriko featuring山近拓音。

 前売り券は大人4千円、ペア券7千円、当日は500円増し。実行委員会(いーぜる)=0956(25)1170。(竹中謙輔)

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