筑後市への工場進出断念へ 九州協同食肉 水枯渇、地価下落…住民の反発で

西日本新聞 筑後版 丹村 智子

 筑後市での食肉加工施設「食肉センター」の建設を計画していた九州協同食肉(太宰府市)が27日、進出を断念する方針を筑後市に伝えた。同社は昨年1月、北部九州の拠点となる新たなセンター建設の計画を市に打診。市は地元の同意を取り付けることを前提として協議してきたが、住民の反発が高まっていた。同社は27日、市と市議会に「これ以上、計画を進めることは難しい」と説明した。

 同社は太宰府市で食肉センターを操業。海外の和食ブームで需要が増えたため、大規模で輸出基準を満たす新施設の建設候補地を探していた。

 筑後市は、豊富な地下水と広い敷地があり、高速道路が近く畜産農家や販売拠点へのアクセスもよいため候補地に選んでいた。約6ヘクタールの敷地に、牛と豚の食肉処理、加工場などを造る計画だった。

 市は昨年9月、市議会全員協議会で計画を市議に報告した。同社はその翌月、候補地の地区代表者が集まった場で事業内容を説明。候補地に当たる農地の地権者と個別交渉を始めた。

 一方、地元住民からは、農業用水に使っている井戸水の枯渇、地価の下落、周辺の交通量増加などを懸念する声も出ていた。

 同社はこれまで地元住民への説明会を開いていない。今年に入ると、住民は賛成、反対を訴える看板を立てたり、チラシを配ったりと対立する状況も生まれていた。このため市議会9月定例会では、市議全員が連名の文書で、同社と住民の話し合いの場を設けるよう市に申し入れた。

 同社の担当者は取材に「(賛否が分かれ)地元での説明会開催も難しく、地権者との交渉もできない状況では(計画を進めるのは)非常に難しい」と説明。今後、取締役会を経て正式に断念を決めるという。

 西田正治市長は「住民の同意が前提だ。それがままならない状況では(撤退を)理解せざるを得ない」。原口英喜議長は「説明会をしないまま判断したことには疑問も残るが、撤退は受け止める」と話した。(丹村智子)

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