「歩きスマホ」 危険を防ぐルール作りを

西日本新聞 オピニオン面

 新しい社会現象には、相応のルール作りが必要だろう。命に関わる危険が伴うのであれば、なおさらのことだ。

 スマートフォン(スマホ)の画面を見たり、操作したりしながら歩行する「歩きスマホ」を巡るトラブルが絶えない。駅のホームから線路への転落やすれ違う人との接触、衝突もある。

 NTTドコモが昨年実施した全国調査では、歩きスマホをしている人とぶつかった経験がある人は2割に上った。日ごろ、電車やバス、徒歩で通勤・通学している人が大半だった。

 スマホは8年ほど前までは、新聞記事でも「多機能型携帯電話」との注釈が付いていた。それでも、ここまで多くの機能を備える物になろうとはどれだけの人が予想できただろうか。

 電話やメールのやりとりが基本だが、目的地までの道案内、銀行口座の操作、日程や名刺の管理、電子マネーなど生活に直結する機能は多彩だ。緊急災害情報などを自動的に届けるプッシュ型配信もあるため、このままいけば常時手放せないという人が増える一方ではないか。

 鉄道会社と携帯電話会社は歩きながら使用しないよう呼び掛けている。しかし、これほど機能が多様化した今、不要不急のメール送信やゲーム使用を戒めればよいという段階は過ぎていると考えられる。自治体単位で条例化を含めた対策を検討すべきだと呼び掛けたい。

 米ホノルル市は一昨年、全米主要都市で初めて歩きスマホを禁じ、違反者には罰金を科す条例を制定した。警官が見つけた場合、初回の違反者には最大35ドル(約3800円)の罰金を科す。違反を繰り返す場合は罰金額を増やしていく。一方、緊急通報や歩きながらの通話は禁じていない。罰則には異論もあろうが、参考にしてみたい。

 福岡市のモラル・マナー条例(2003年施行)も先例になるだろう。市内全域で歩きたばこをしない努力義務のほか、中央区天神など指定地区では路上禁煙を罰則付きで定めた。歩きながらたばこを持つと、火が子どもの顔の高さに近づきやすい。危険防止にはやはり一定のルールが必要だろう。

 歩きスマホでは特に、視覚障害者との衝突が社会問題化している。禁止できれば「人に優しいまちづくり」という条例の趣旨にも合致するだろう。

 歩きスマホをすると注意が散漫になり、犯罪被害に遭いやすいことにも十分配慮する必要がある。

 スマホが歩く振動を検知すると、操作できなくなるサービスも始まっているが、さらなる強化も求められる。便利さより大切なことがあるはずだ。

PR

PR

注目のテーマ