瀋陽(中国) 活気あふれる世界遺産の省都

西日本新聞 夕刊 岩佐 遼介

民族融和を象徴するデザインの大政殿 拡大

民族融和を象徴するデザインの大政殿

瀋陽故宮の入り口付近 第2代皇帝ホンタイジの第1夫人の住居 張作霖と長男・学良の官邸兼私邸跡「張氏帥府」にある「大青楼」 使用した後、歩道に置かれているシェアサイクル 若者でにぎわう夜市 いろいろなギョーザを提供する老辺餃子館本店 地図・瀋陽

 北九州市を旅立ち、大連、丹東と中国遼寧省を巡る旅の最後に省都・瀋陽を訪れた。

 瀋陽駅で下車すると、街の活気に驚く。駅周辺には車があふれ、多くの自転車が行き交う。しかも多くの自転車が同じデザインだ。現地ガイドによると、シェアサイクルだという。どこで乗り捨てるのも自由で、料金は30分約10円と安価なため、市民に広く普及している。市街地を歩くと、歩道や側溝などに置かれたままのシェアサイクルを頻繁に見掛けた。自転車には衛星利用測位システム(GPS)の機器が備え付けられており、自転車は回収して乗り場に戻すのだという。

 瀋陽観光の目玉は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産「瀋陽故宮」だ。約400年前に建てられた清王朝初期の王宮跡で、初代皇帝ヌルハチと第2代ホンタイジの遺品など約2万点が収蔵されているという。

 故宮の入り口には、すねほどの高さの仕切りがあり、またいで中に入らないといけない。中国では、仕切りが高いほど金持ちだとか。

 ヌルハチが執務した「大政殿」は、モンゴル族が遊牧生活で使う移動式住居「パオ」をモデルにし、漢族に親しまれる竜が装飾として施されている。さらにチベット仏教と満州族ゆかりのデザインもあり、民族融和の象徴となっている。

 現地の女性ガイドが別の5棟の建物を示しながら、「ここはホンタイジの奥さん5人が暮らしていた場所です」と紹介した。ホンタイジの妻は15人おり、この建物には位の高い妻が住んでいたという。中国版の「大奥」といったところか。ガイドは「ホンタイジの奥さんになったら大変でしょ。私は嫌だわ」と笑う。

   ◇     ◇

 続いて、中国東北部の軍閥だった張作霖(ちょうさくりん)と長男の学良の官邸兼私邸跡「張氏帥府」を訪れた。約1・6平方キロの敷地には、15部屋もある地上3階、地下1階の「大青楼」などがあり、当時の軍閥の圧倒的な財力を感じる。

 張作霖は1928年、旧日本陸軍の関東軍によって爆殺された。後継ぎの学良とともに、地域の文化と経済の発展に貢献した英雄とされている。

 張氏帥府には、2人の遺品など生涯を振り返る展示が並ぶ。父親を殺された学良が述べたという怒りの言葉を記したパネルもあった。忘れてはならない歴史を心に留めた。

 夜、市街地をぶらりと散歩すると、露店がずらりと並ぶ夜市があった。豆腐を発酵させた「臭豆腐」や焼き鳥の香りが混ざり合い、通りは若者でにぎわっていた。

 試しに10元(約150円)の輪投げに挑戦し、ワインやぬいぐるみめがけてバケツ5杯分ものリングを投げたが、獲得したのはミネラルウオーター1本のみ。悔しがる私に露店主が「おまけに」ともう1本くれた。うれしかった。

 北九州市との国際定期便が就航した大連市を玄関口に遼寧省を巡った旅。高層ビルが立ち並ぶ市街地に圧倒され、北朝鮮との国境や歴史的な建造物で歴史に触れた。様々な側面を堪能し、帰国後もしばらく余韻に浸り続けた。

 ●メモ

 瀋陽は人口800万人以上で、漢民族を中心とした30以上の民族がいる。安川電機(北九州市)が拠点を構えることでも知られる。北九州市からは航空機で大連まで飛び、中国高速鉄道を利用するのが便利だ。高速鉄道の2等席は約2600円、1等席は約4000円で、2時間余りで到着する。

 ●寄り道=多様なギョーザいかが 老辺餃子館本店

 瀋陽を代表する繁華街の「中街」には、中国全土に店舗を構える有名ギョーザ店「老辺餃子館」の本店がある。10種類以上のギョーザを楽しめるのが特徴だ。焼きギョーザは皮がぱりぱり、蒸しギョーザはもちもちと、食感も多様。スープに入った小ぶりのギョーザもお薦めだ。繁華街での買い物の合間に味わってみてはいかがだろうか。
(岩佐遼介)

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