【ラガーマン記者が読み解くW杯】ゼロからラグビー(7)ゲインライン 防御いるのになぜ突進?

西日本新聞 入江 剛史

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の1次リーグで、日本代表は28日の第2戦で、優勝候補の一角のアイルランド代表を倒し、歴史的勝利を挙げた。勝因の一つは、「ゲインライン」を巡る攻防を制したこと。ただ「ゲインラインってグラウンドのどこにあったっけ?」と探しても見つからない。タッチラインやゴールラインは実在するが、ゲインラインは仮想のライン。それでもラグビーはゲインラインが勝敗を分ける。防御の選手が横並びで待ち構えているのに、攻撃の選手が突っ込む理由は、そこにある。

 日本は、個々の突破力があるアイルランドに対し、中盤のエリアから敵陣にかけて徹底してランとパスで攻めた。ボールを持っている状態を保ち、屈強な相手の体力と攻撃の時間を奪う戦略だ。

 日本選手は、パスできる選手が外にいるのに、わざわざアイルランド選手が並ぶところに何度も突進を仕掛けた。これは力自慢をしているわけではない。ゲインラインを巡って、せめぎ合っているのだ。

 ゲインラインは、スクラム、ラック(地面に着いたボールの上で敵味方で押し合う)、モール(ボールを持った状態で押し合う)の真ん中で敵味方を分けるような線を仮想し、その線をゴールラインと水平方向に引っ張ったものだ。

 ラグビーはボールを前に投げられないから、攻撃側は密集の後方に斜めに並んでアタックラインをつくる。密集から球を出し、パスして、走っての繰り返しで前進を図る。これに対し、防御側は密集の後方に横一列のディフェンスラインをなし、密集からボールが出ると攻撃側との間合いを詰めてタックルする。

 ボールを持った選手がタックルで倒されると、この接点でボールの奪い合いが始まる。いち早くたどり着いた防御の選手は、倒れた選手の胸付近に手を掛けてボールをもぎ取ろうとするか、ボールの上で攻撃の選手と組み合って押し込もうとする。

 これに対し、攻撃の選手は防御の選手よりいち早く接点に到達して体で覆うように地上のボールを守るか、ボールに仕掛けてくる防御の選手に体を当てて、はぎ取ろうとする。

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