ビルの間に街道の面影 古くて新しいお宝探し 箱嶋家住宅 福岡市東区

西日本新聞 ふくおか都市圏版 今井 知可子

 「えっ、こんな所に古民家があるんだ」。福岡県庁から歩いて10分、マンション群の一角にたたずむ木造住宅に驚く。江戸の建築様式をくみ、明治初めに建てられた箱(はこ)嶋(しま)家住宅(福岡市東区)。よく気をつけて歩くと、周辺の路地にも町家づくりの建物が見られる。旧唐津街道箱崎宿があり、筥崎宮の門前町でもあった馬出、箱崎一帯には宿場町の面影が残り、都心部に近い街歩きスポットとして人気を集めつつある。

 箱嶋家を訪れたのは台風17号が過ぎたばかりの9月下旬。屋根にはブルーシートがかぶせてある。「虫食いはあるし、台風で崩れやしないかと気が気ではなかった。幸い、マンションに囲まれているので風が直撃しなかった」と家主の箱嶋文衛さん(76)は笑う。

 店と住居を兼ねる博多町家の造りで、店の間(表の間)、神棚がある中の間、座敷と奥に向かって部屋が並ぶ。赤に近い華やかな色合いの漆のベンガラ塗りが特徴。箱階段や吹き抜けの2階の欄干にもしっとりと漆が光る。

 福岡大空襲の戦火を逃れた一帯は、町家文化を残す貴重な遺産群だ。箱嶋家住宅は2007年に国有形文化財に登録。16年に住民有志が「唐津街道箱崎宿お宝探索プロジェクトチーム」を結成し、市や大学と協働で現存する町家の調査を続ける。町家の多くは現在も住居や店などに使われているため非公開だが、所有者の了解を得て市とプロジェクトチームが行う「町家特別公開めぐり」では一部を見学することができ、毎回すぐに満員になる人気イベントとなっている。

 箱崎宿一帯の町家の特徴は、筥崎宮の方角を向いて神棚が造られ、火の神「荒神さま」を祭る荒神竈(かまど)があることだという。僧が琵琶を弾きながら「荒神払い」に家々を回る風習もあったそうだ。

 古民家に残るまちの記憶を、未来へどうつないでいくか。それを探るため、住民実行委員会による「まちなみフォーラム福岡in唐津街道箱崎宿」が11月2日、県教育会館(同区馬出)で開かれる。田村邦明筥崎宮宮司が基調講演し、県内各地で町並み保存に取り組む市民団体が展望を話し合う。参加費千円。

 「まだ知られていない箱崎宿の歩き方を、楽しみながら探っていきたい」と箱嶋さんは話す。フォーラムの問い合わせ、申し込みは実行委員の箱嶋さん=090(5043)2107。

 (今井知可子)

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