宮崎県の高卒者、県内企業への就職率アップ 官民一体の取り組み奏功

西日本新聞 佐伯 浩之

2月に開かれた高校2年向けの「高校生等企業ガイダンス」(宮崎県雇用労働政策課提供) 拡大

2月に開かれた高校2年向けの「高校生等企業ガイダンス」(宮崎県雇用労働政策課提供)

 宮崎県は、県内の高校を卒業した学生の県内就職率アップに向けた施策を展開している。数年前に、県内就職率が全国最下位となったことに危機感を持った。学校現場や県内企業と組み、高校生への就職説明会や就職を後押しする人材採用などをした結果、地元企業への就職率がアップ。官民一体の施策は、九州の他県からも注目されている。

◆2年連続最下位

 国や県などによると、2019年3月に県内の高校を卒業した人は1万121人。このうち、就職した学生は2949人で、県内就職者は1708人。県内就職率は57・9%で全国44位だった。

 県ではそもそも、高校生の県内就職率は高くはなかった。農林水産業など第1次産業が主力の「農業県」で、大規模な製造業種が他県と比べ少ないことなどが影響しているとみられる。このため、就職希望者は首都圏や京阪神地域に流出。高校生の県内就職率は15年に54・0%、16年には54・8%となり、2年連続で全国最下位になった。

 地元就職を通じて県内に定住してもらい少子高齢化にも対応しようと、県では高校教育課と雇用労働政策課が横断的に連携。高校や地元企業などの関係団体に呼び掛け、対策を練った。

◆企業体験も企画

 関係団体はまず、県内で高校2、3年生を対象にした地元企業による説明会を開催。これまでも開かれていたが、企業の宣伝法を変え、高校生に積極的にPRすることを求めた。一部の高校には、企業と教育現場を結ぶ「地域コーディネーター制度」を取り入れた。地域コーディネーターには、教師やハローワークのOBなど教育現場や企業の事情を知る専門家が採用され、高校生の相談を受けた。

 商業や工業などの実業系高校では、1、2年時から、生徒や一部保護者も付き添って企業訪問し、仕事を体験する取り組みも行う。

 この結果、就職率は17年に55・8%(全国46位)、18年に56・8%(同45位)-と徐々に改善。雇用労働政策課は「今年の求人票は、かつてより地元企業が増えたと思う」と手応えを語る。同じ悩みを抱える他県が情報交換を求めるなど、宮崎県の取り組みに注目が集まっている。

 県は今春、県政の総合計画長期ビジョン改定に合わせ、就職率について「30年に65%」を掲げた。雇用労働政策課の佐藤誠一主幹は「就職率アップには、施策を地道に繰り返していくしかない」と強調。高校教育課の松浦宗孝指導主事(産業教育担当)は「関係機関と連携し、取り組みを進めたい」と話している。(佐伯浩之)

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