韓国 国防費を大幅増 自主防衛にシフト 文政権、米との関係苦慮

西日本新聞 国際面 池田 郷

 【ソウル池田郷】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は1日、「国軍の日」の式典で演説し、「韓国軍はいかなる潜在的な安全保障上の脅威にも主導的に対応する」と述べ、2020年度(1~12月)の国防費として初めて50兆ウォン(約4兆5千億円)を超す予算案を編成したとアピールした。革新系の文政権は、米国との同盟関係を重視してきた保守政権に比べて自主国防色を強めており、国防費を大幅に増額。一方、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)破棄を決めるなど、日米との安保協力に影も落としている。

 韓国政府が8月に発表した20年度予算案では、国防費として50兆1500億ウォンを計上。前年度比伸び率は7・4%で、過去10年間の平均4・9%増を大きく上回る。国防中期計画で掲げた24年度までの5年間の国防費は290兆5千億ウォン。国産空母を建造する中国や、護衛艦の事実上の空母への改修を進める自衛隊の動きに対抗し、20年から3万トン級輸送艦の設計に着手する計画を盛り込んでいる。

 文政権が国防費を増額するのは、朝鮮半島の有事を想定した米軍の戦時作戦統制権(指揮権)を、自身の任期の22年までに韓国軍に移管する目標などがあるためだ。韓国では朝鮮戦争(1950~53年)以降、自国軍が米軍の統制下にあることに対し、革新勢力を中心に根強い不満がある。

 ただ、米政権内には同盟の弱体化につながるとの慎重論がくすぶっており、日本とのGSOMIA破棄決定についても米国防総省は異例の「強い懸念」を表明。北朝鮮との統一を目指す文氏としても、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との非核化交渉の鍵を握るトランプ政権との関係は重要だけに、米側の意向は無視できない。

 韓国内では、トランプ政権が韓国に対し在韓米軍の駐留経費として現在の1兆389億ウォンから5倍近い負担を求めるとの見方もある。文政権が国防費増を伴う自主国防の旗を掲げつつ、負担増に応じれば、財政負担がさらに膨らむ可能性もありそうだ。

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