次世代兵器、米に対抗 極超音速弾、全米射程の弾道弾 中国「強国」を誇示

西日本新聞 総合面 川原田 健雄

 【北京・川原田健雄】中国の習近平指導部は1日、建国70年の軍事パレードで最新兵器を公開し、米国に対抗できる軍事力を見せつけた。対米貿易戦争では譲歩姿勢も見せる中国だが、「強軍路線」の看板は下ろさず、新たな国際秩序構築を目指す構えだ。

 「中華民族の偉大な復興という“中国の夢”実現のため奮闘しよう」。1日、北京の天安門広場で開かれた記念式典。中山服(人民服)姿で現れた習国家主席は、毛沢東の肖像画が掲げられた天安門楼上に立ち、声を張り上げた。

 演説後は黒塗りの車に乗り込み、大通りに整列した人民解放軍部隊を閲兵。「同志諸君、ご苦労」と声を掛けると、兵士たちは「人民のために尽くします」と叫んだ。上空にはヘリコプターの編隊が「70」の文字を描いて飛行。次々と登場する最新兵器を習氏は楼上から悠然と見守った。

 抗日戦争や国民党との内戦を経て建国した中国共産党にとって、軍は力の源泉。首都での軍事パレードは、軍トップでもある習氏の強い指導力をアピールする格好の舞台だ。

 式典には江沢民元国家主席、胡錦濤前国家主席も顔をそろえたが、衰えは隠せない。江氏は両脇を抱えられて登場し、ほとんど着席したまま。胡氏も現役時代は黒々としていた頭髪に白いものが目立った。

   ◇    ◇

 国内で「1強」体制を築いた習氏だが、対外的には逆風にさらされている。立ちはだかるのはトランプ米政権だ。2018年夏に始まった制裁関税の応酬は歯止めが利かず、貿易戦争が激化。ハイテク分野の覇権争いも絡み、米中対立の出口は見えない。

 「今回のパレードには、米国を排除できる軍事力が中国にはある、と国内向けにアピールする狙いもある」。中国の軍事動向に詳しい笹川平和財団の小原凡司上席研究員は指摘する。

 軍事パレードの目玉となった「東風41」は、米国のほぼ全域を射程に収める多弾頭型の大陸間弾道ミサイルで、この日は16基が登場した。「対米核抑止力を示す意味がある」と小原氏は言う。米国はグアム基地を奇襲破壊できる中距離弾道ミサイル「東風26」にも注目しているという。

 初公開された次世代弾道ミサイル「東風17」は音速の5倍以上で低空飛行する極超音速兵器を搭載。米軍のミサイル防衛システムでも迎撃は難しい。中国は高高度を飛行する高速無人偵察機や攻撃型無人機など各国が開発を競う兵器も公開し、能力を見せつけた。

 今世紀半ばまでの「世界一流の軍隊」づくりを掲げる習指導部は、毎年国防予算を増やして軍拡へ突き進む。その狙いは何か。「米国が手出しできない状況をつくり、中国が何をやっても批判されない新しい国際秩序を構築するのが目標だ」と小原氏はみる。

 ただ、現状では中国軍の実戦経験は乏しく、米軍と対等に戦えるレベルに達していない。「台湾侵攻の詰めとなる上陸作戦能力も足りない」という。

 中国は当面、貿易戦争などで対米譲歩を重ねるとみられるが、建国100年を迎える49年に向けて軍事大国への階段を上り続けるのは間違いない。

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