日米韓の足元見透かし 北朝鮮 日本EEZにミサイル ウクライナ疑惑にらみ

西日本新聞 総合面 田中 伸幸 池田 郷

 北朝鮮は2日、昨年6月に米国と本格的な非核化交渉に入って以来初めて、中距離とみられる射程の弾道ミサイルを発射した。しかも潜水艦から発射可能な弾道ミサイル(SLBM)とみられる。これまで短距離弾道ミサイルの発射は容認する姿勢を示してきたトランプ米政権が大統領選を巡るウクライナ疑惑で揺れる中、その足元を見透かすように、ミサイルの種類を変え、射程を伸ばして米国の出方を試し、既成事実化を図る狙いがうかがえる。

 「SLBMは米国が最も恐れる北朝鮮の戦略兵器だ」。韓国メディアは2日、こう指摘した。SLBMは朝鮮半島付近からでは米本土に届かないが、潜水艦で接近して発射すれば到達する上、防御も難しい。

 北朝鮮は今年5月、米朝の非核化協議が始まって以降中断していた弾道ミサイル発射を再開。ただし射程は短距離に限られ、米朝協議の決定的な決裂を避けたいトランプ大統領は容認姿勢を取り続けてきた。

 だが今回のミサイルはトランプ氏の虎の尾を踏む危険を伴う。にもかかわらす「次元の異なる挑発」(韓国のシンクタンク代表)に踏み切った金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の意図について、韓国メディアはウクライナ疑惑を巡る米国内の政治状況と関連付けて報じた。

 疑惑から国民の目をそらせたいトランプ氏が北朝鮮の非核化交渉で“成果”を得るため、今回も問題視しないだろうと北朝鮮が踏んだとの見立てだ。最強硬派のボルトン氏が国家安全保障担当の大統領補佐官を解任されたこともシグナルとなり、正恩氏が強気に出た可能性も指摘される。

 一方、米紙ワシントン・ポストは北朝鮮の狙いについて、米朝協議が停滞する間も北朝鮮の軍事力が着実に向上し続けていることを誇示し「(5日に再開される)米朝協議で北朝鮮の立場を強めることを意図した可能性がある」とする識者の見方を伝えた。

 韓国では、1日の「国軍の日」の記念式典を在韓米軍司令官が欠席したことが注目された。韓国が8月、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を決定し、米国が韓国に異例の強い懸念を表明したことから「韓米同盟の弱体化が心配だ」(野党議員)との声が高まりつつある。今回のミサイル発射は日米韓の連携が大きく揺らぐのを見計らった北朝鮮の巧みな駆け引きとの見方もある。 (ソウル池田郷、ワシントン田中伸幸)

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