関電の金品受領 経営陣の刷新は免れない

西日本新聞 オピニオン面

 関西電力の社長、会長を含む役員ら20人が高浜原発のある福井県高浜町の元助役(3月死去)から、就任祝いなどの名目で計約3億2千万円の金品を受け取っていた。うち2人は1億円相当を超え、常識の範囲をはるかに超える額だった。

 東日本大震災による原発事故以来、原発に向けられる国民の目はかつてなく厳しい。にもかかわらず、震災後も金品の受領は続いていたという。あきれてものも言えない。国内で最も原発に力を入れる関電の不祥事は、原発事業に対する社会的信頼を大きく損なった。

 岩根茂樹社長は、電気事業連合会の会長として業界を代表する立場でもある。電力会社は公益を担う企業であることを忘れていないか。

 だが、岩根社長は金品受領は「不適切だが、違法ではない」と釈明し、「原因究明と再発防止に努める」と辞任を否定した。経営者に不可欠な法令順守や説明責任に対する意識が欠落していると言わざるを得ない。

 経済産業省が事実関係の書面報告を求めたのも当然だ。原発事業や電力業界への信頼回復に努めるなら、まず経営体制を一新して責任を明確にすべきだ。

 原発を巡る地元との不透明な関係はしばしば指摘されてきた。今回も元助役は多額の原発関連工事を受注している地元建設会社と深く関わり、「手数料」として受け取った資金が関電側への金品に使われたとされる。

 工事費の原資は電気料金であり、大震災以降、投入された5千億円超の安全対策費も転嫁されている。その一部が役員らに還流していたとみられる。

 岩根社長は「一時保管していて儀礼の範囲を超えた分は既に返却した」と説明するが、到底納得できない。受け取りを拒むと「激高されるから」という言い訳も子供じみている。

 金品受領に疑問の声があったのに、なぜ社が管理しなかったのか。昨年の調査結果や処分についてもなぜ取締役会に報告しなかったのか。理解に苦しむ。

 産業の乏しい地域にとって原発の存在は大きい。地元自治体には関連交付金や補助金が入る。土木・建設業者をはじめ関係者を当て込んだ宿泊・飲食関連の仕事も生まれる。元助役が関係した建設会社は売上高が5年で約6倍になったという。こうした原発マネーを介した「原子力ムラ」の不透明なもたれ合いの一端が露呈したと言えよう。

 九州でも、九州電力玄海原発(佐賀県)で地元首長の親族が経営する会社が関連工事を受注するケースがあった。九電は社内規定で金銭受領を禁止している。当然の対応であり、今回の問題も他山の石としてほしい。

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