「受験生投げ出せない」「重い責任代替いない」 人手不足 改善求める声 育休取得低迷、現場の男性教員は

西日本新聞 社会面 斉藤 幸奈

 男性教員の育児休業取得が少ないことについて、教育現場には保護者や職場の理解、人手不足の改善を求める意見がある。

 「男の先生が育休なんて保護者や生徒から“見捨てられた”と不信感を抱かれかねない。取るなら丁寧な説明がいる」。今夏、第1子が誕生した福岡市立中の男性教員(36)は受験を控えた3年を担任し、取得は考えていないという。

 3人の子がいる熊本市立小の男性教員(36)は「忙しくて(取得を)言い出せなかった」。保護者から夜間に相談の電話があるなど「24時間365日先生であること」を求められていると感じることもある。「学校を離れれば家庭があるのだけれど」。育休を取らない姿が、児童に古い価値観を植え付けているのでは、と危機感を募らせる。

 男性教員の育休取得が少ないのは全国的な傾向だ。横浜国立大の江原由美子教授(社会学)は「学校は以前から他の職業より女性が多く、女性の育休が整備されたのも早かった。それが民間以上に、女性だけが取るのが当たり前という風潮につながっているのでは」と指摘する。

 学校を取り巻く環境にも課題がある。福岡市立中の教頭(48)は「信頼が厚い先生であればあるほど、休まれるのは困るというのが管理職の本音」とこぼす。

 団塊世代の大量退職などで教員不足は深刻で、1人当たりの業務負担は増すばかり。育休を取得すれば代替の教員が配置されるが「責任の重い仕事をいきなりやって来た人に任せるには限界がある。あらかじめ人員にゆとりがあれば男性も気兼ねなく取れるはず」と手厚い人員配置を求める。

 一方、「男性だからこそ、取りやすい面もある」との意見もある。福岡市立小の男性教員(41)は昨年2月に長男が生まれ、同年4月から育休を取得した。前もって担任を外してもらうことで、保護者や子どもの混乱もなく、スムーズに休業に入れたのは年度初めだったからこそ。

 妊娠・出産により休業の始期が決まる女性より、予定を加味した上で柔軟に日程が組めると感じている。児童に「おうちの人は大変な思いをしてお世話してくれたんだよ」と実感を持って言えるようになった。

 江原教授は「充実した制度を生かすためには意識改革が必要で、学校現場が果たす役割は大きい」と強調する。 (斉藤幸奈)

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