北朝鮮ミサイル 日米韓の連携で歯止めを

西日本新聞 オピニオン面

 北朝鮮に融和的なトランプ米大統領と、米国に配慮して強硬な言動を控える安倍晋三首相、そして深刻な日韓対立の足元を見透かしたような挑発である。

 5月以降、弾道ミサイルなどの発射を繰り返している北朝鮮がおととい、またミサイルを発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落ちた。北朝鮮は、潜水艦から発射できる新型弾道ミサイル(SLBM)試射に「成功した」と発表した。

 海中を動く潜水艦は位置をつかみにくく、人工衛星の監視などで察知しやすい地上発射に比べ、奇襲性、反撃能力が高い。

 米国には、技術的に未熟な北朝鮮の潜水艦は行動範囲に限界があり、米本土には差し迫った脅威とならない、との見方がある。だが、日本にとっては新型ミサイルの開発や潜水艦建造は看過できるものではない。

 東アジアの平和と安定に責任を負う日米韓は、北朝鮮のミサイル開発は自国への脅威であるとの認識を共有し、強く自制を求めなければならない。

 来年の米大統領選に向け、北朝鮮外交の成功で得点を稼ぎたいトランプ政権は、国連安全保障理事会決議違反にもかかわらず、米国領には届かない短距離ミサイルなら発射を容認してきた。その態度が、結果として度重なる挑発を助長している面は否めない。

 今週末には米朝実務協議が予定されている。その日程を発表した翌日に、北朝鮮は発射に踏み切った。ミサイルの性能を確かめながら、米国がどこまで軍事的挑発を受忍できるのかを見極めようとしているようだ。

 日本の対応はどうか。安倍氏は発射後に「厳重に抗議し、強く非難する」と述べたが「圧力」には言及しなかった。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と「無条件で会う」という方針も変えていない。これで北朝鮮が日本の主張に真剣に耳を傾けるだろうか。

 北朝鮮の軍事力増強は日本国民の生命・安全に直接関わる。安倍氏はまず蜜月の関係というトランプ氏に対し、脅威を高めるミサイルの発射は射程の長短にかかわらず一切認めない-という姿勢を明確にするよう説得すべきだ。

 日韓の連携も不可欠だ。今回、韓国は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に基づき、情報提供を日本に求めた。日韓の防衛協力の必要性が改めて裏付けられたと言えよう。韓国側は来月、協定を破棄すると通告しているが、現実的な判断に基づいて翻意を促したい。

 日米韓は北朝鮮の核・ミサイル開発を決して許さない、との共通認識を再構築し、国際社会と足並みをそろえてメッセージを発し続けねばならない。

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