手作りの旅、児童成長 久山・久原小6年 都市圏史跡巡り50キロ

西日本新聞 ふくおか都市圏版 郷 達也

目的地の太宰府を目指して歩く児童たち 拡大

目的地の太宰府を目指して歩く児童たち

寝袋を敷いた宇美小の体育館で、その日の行動を振り返った 太宰府市の岩屋城跡にゴールし、笑顔の子どもたち

 久山町の久原(くばら)小6年生67人が9月25~27日、「令和の旅」と銘打った福岡都市圏の遺跡・史跡巡りに挑戦し、3日間で延べ50キロを完歩した。令和ゆかりの地の太宰府市などを訪ね、旅先で出会った人には古里の自然や歴史をアピール。宿泊先なども自ら交渉し確保した。普段の学校生活では得られない体験を重ね、それぞれが仲間の大切さを胸に刻み、心身共に成長した旅となった。

 遺跡巡りは、昨年の6年生が宗像市などを舞台に初めて実施。同小では毎年、地元にある中世の山岳寺院跡で国指定史跡「首羅山遺跡」の学習に取り組んでおり、同遺跡を町外に広め、児童の自主性や協調性を高めようと今年も旅を企画した。

 久原小児童は総合的な学習の時間を約40時間使い、「安全・行程」や「食事」など八つの係に分かれて綿密に計画を練った。同遺跡を道中でPRするパンフレットの作成や、インターネットを活用して訪問する史跡の調査のほか、宿泊、入浴施設、各史跡の講師へのお願いも手紙や電話で行った。「手が震えながら電話した」という児童も。社会勉強の一環だ。

 迎えた本番。志免町の七夕池(たなばたいけ)古墳や宇美町の宇美八幡宮、太宰府市の坂本八幡神社、大宰府政庁跡などを訪問。道中の小学校や公園、店舗駐車場などをトイレ休憩や給水所として使わせてもらい、保護者が飲料を車で運搬。トイレの使用後は掃除を行い、感謝のトイレットペーパーも置いた。宿泊先の宇美小や太宰府小では児童と交流会を開いたり、調理室を借りて豚汁やカレーを自炊したりした。

 「古里を愛し、誇りに思う自分たちの町をずっと大切にするために一歩一歩、歩き続けます」。交流会などでは、係の桐谷太地君が旅の目的を説明。交渉や広報などの係の久芳(くば)れなさんは、訪問先や道中で首羅山遺跡のパンフレットを渡した。「たくさん声援をもらって力になった。久山に来てくれるきっかけになればうれしい」と笑顔を見せた。一方で、夜のミーティングでは児童から厳しい意見が相次いだ。「てきぱきさが足りない」「古里の歌を歌うときに口が開いていない」-。行動を振り返り、改善すべきことなどを話し合った。最後は、太宰府周辺を一望できる山中の岩屋城跡でゴールし、喜びを爆発させた。重松宏明校長(59)は「実際に歩いて体験したことを肉付けし、人前でスピーチする力が日に日についていった。町の中だけに閉じこもりがちな子どもたちがさまざまな課題を解決しながら目的を達成し、自信を付けた」と成果を語る。

 ランドセルも教科書も手放し、仲間と歩き通した冒険旅行。セレモニー係の田中奏至君は交流会を振り返り、「太宰府の6年生も町の歴史を大事にしていて自分たちと同じ共通点があった。いい交流ができた」。全体リーダーを務めた樋口隼人君は「前に出てグループをまとめることができるようになろうとリーダーになった。皆が協力してくれて友達の大切さを実感した。やりきったし、達成感でいっぱい」と晴れ晴れとした表情で旅を締めくくった。 (郷達也)

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