現代を生きていると、目に見えないものほど怖いものはない…

西日本新聞 オピニオン面

 現代を生きていると、目に見えないものほど怖いものはない。まずは「花粉」。花粉症の人は、花粉情報が新聞に載り始める頃が一番憂鬱(ゆううつ)とか。お次は「コンピューターウイルス」。パソコンに忍び込み暗証番号まで盗み出す。そろそろ「インフルエンザウイルス」も警戒する時季か

▼そんな怖いものの筆頭が「放射能」かもしれぬ。2011年の東日本大震災では、復興の妨げだった震災がれきの広域処理が大停滞した。福島第1原発事故の放射能の影響を恐れ、どの自治体も受け入れを尻込みした

▼そんな中、西日本で真っ先に手を挙げたのが北九州市。宮城県石巻市から2万トン超を受け入れ焼却した

▼地元では放射能を不安視する一部市民の激しい抗議活動が起こり、逮捕者も出た。だが北橋健治市長は「冷たい雨に打たれる人を見過ごすわけにはいかない」と決断したという

▼この人も北橋氏のような決意から発言したのか。環境相として最後の記者会見で原田義昭氏が、福島原発で増え続ける処理水に関し「思い切って(海に)放出して希釈する他に選択肢はない」と述べた。できれば退任前でなく任期半ばで問題提起してほしかった

▼処理水には放射性物質トリチウムが含まれ、漁業者は風評被害を強く懸念する。一方で処理水のタンクは22年には満杯になるそうだ。各地の原発に増え続ける核のごみの処分先も含め、国民的議論を即刻、と切に願う。

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