W「フェラーリ」トライ競演、原点は大金星後の苦い経験

西日本新聞

試合終了間際、チーム4本目のトライを決めた松島。右は福岡(撮影・中村太一) 拡大

試合終了間際、チーム4本目のトライを決めた松島。右は福岡(撮影・中村太一)

福岡堅樹選手が途中出場し、手をたたいて声援を送る父の綱二郎さん(前列中央)=5日午後8時50分ごろ、福岡県古賀市(撮影・帖地洸平)

◆ラグビーワールドカップ(W杯)1次リーグA組 日本38-19サモア(5日・豊田スタジアム)
 後半ロスタイム。勝利は決まっていた。それでも、8強へと近づくボーナス点のためにトライが欲しかった。相手ミスから転がり込んだ最後のスクラム。1度目は押し込み、ゴール寸前で崩れた。2度目も押し込み、相手FW陣をくぎ付けにした上で左に展開。WTB松島がタックルをかわして飛び込んだ。

 一つのミスも許されない極限の状況でFWとバックスが与えられた役割をこなし、奪った4トライ目。4年前は完勝しながらも2トライにとどまった相手に進化を示しての劇的な結末に、ジョセフHCは「誇りに思う。チーム全体でフォーカスした結果」とたたえた。

 強いフィジカルを前面に押し出しながら粘るサモアをなかなか突き放せない展開だった。相手は負傷や出場停止で主力3人を欠き、しかも前の試合から中4日。疲労も濃いはずが、気迫に押された。自滅するように重ねた反則やミス。モールも押し込まれ、肉弾戦で後手に回る場面もあった。

 そんな苦境を救ったのが日本が誇るダブル「フェラーリ」だった。後半から途中出場したWTB福岡は「どのタイミングでボーナス点を狙うか」と冷静に戦況を分析。同35分に「真っすぐ走るだけだった」と2試合連続のトライでまず勝利を決定づけた。「最後はマツ(松島)が取ってくれると思っていた」とイメージ通りのトライラッシュ。W杯初の「トライ競演」で3連勝を締めた。

 南アフリカを撃破して舞い上がってしまった4年前の苦い経験がある。優勝候補アイルランドを破ってもチームは浮つかずに準備を重ね、サモアに完勝した。その4年前、完敗したスコットランドとの試合しか出場できず、不完全燃焼に終わった福岡。史上初の8強入りが懸かった運命のスコットランド戦に再び挑む。「気負いすぎない」と期する思いをのみ込んだ。悲願達成へまた一歩近づいた。 (大窪正一)

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