PTA費から240万円なぜ 学校のコピー機リース料 県内の市立高校、保護者疑問視

西日本新聞 一面 金沢 皓介

福岡県のある市立高校のPTA決算書類。複写機・印刷機のリース料として239万9820円が計上されていた(写真の一部を加工しています) 拡大

福岡県のある市立高校のPTA決算書類。複写機・印刷機のリース料として239万9820円が計上されていた(写真の一部を加工しています)

 福岡県内の市立高校で、学校のコピー機のリース料として毎年約240万円がPTA会費から充てられているという。「PTAが学校の代わりに負担しているのではないか」。子どもが通う40代女性から特命取材班に疑問の声が寄せられた。子どもの学習環境を整えることもPTAの役割だが、会費の使い道として適正なのか。

 同校PTAの2018年度決算書によると、会費は保護者が月1400円、教師が同500円で予算規模は約1800万円。コピー機については239万9820円を支出し「複写機・印刷機リース料など」と記されていた。自身も会費を支払った女性は「学校の経費をPTAに出させるのはおかしい」と憤る。

 学校に尋ねてみた。担当者は「公費での設置は1台しかなく、生徒に還元する意味合いでPTAにコピー機や印刷機17台をリースしてもらっている」と説明。「公費が潤沢ならば賄える分もあると思うが、教育現場を支える両輪としてPTAに負担してもらう形が長年続いている」と、厳しい懐事情を打ち明けた。

 学校教育法は「学校の設置者は、その学校の経費を負担する」と定める。経費の範囲は「教職員の人件費や教材、消耗品など設備の経費」(文部科学省財務課)とされるが、具体的には設置者の判断に委ねられているという。

 一般的にPTA会計には監査があり、予算、決算は総会での承認が必要だ。文科省の担当者は「学校の強制ではなく、PTA側が自発的に『使ってください』とするのは問題ない」との認識を示す。

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 こうしたPTA会費の使い道に対する疑問の声は以前からあった。

 学校施設の修繕費や教員の手当などに充てられていた問題を受け、文科省は12年に都道府県と政令市が設置する高校や中等教育学校を対象に、PTA会費の使途調査を実施。29都道府県と12政令市(九州では熊本、大分、鹿児島各県と福岡、北九州市)で講師の人件費、事務機器の購入費やリース料などに流用されていたことが発覚した。

 文科省は「PTAが真に任意に経費の支援を行うことは禁止されていない」として、改善指導などには乗り出していない。ただ、公費で負担するべきものをPTA会費で賄うとすると、所得の多い世帯も少ない世帯も一律に支払うことになるため負担感に差が出ることにもなる。

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 学校を巡る諸経費について、明確な基準を定める自治体もある。

 岡山県教育委員会は04年にマニュアルを作成。「公費負担」「PTA等から支援を受けることが可能」「私費負担」を一覧表記し、学校経費を安易にPTAに負担させないよう求めている。「印刷用品等」は公費負担に区分されており、コピー機リース料はPTAが負担すべきではないということになる。県教委の担当者は「関係団体と協議し、使い方に疑問が生じないようにした」と話した。

 任意団体のPTAだが、実質強制加入の学校は多い。会費でリース料を賄っている市立高校について、市教委の担当者は「全員がPTAに加入して徴収しているから可能な仕組み。加入率が下がれば“当たり前”が通らなくなるかもしれない」と認めた。

 PTA問題を研究する文化学園大の加藤薫教授(日本文化論)は「文科省が調査して7年がたっても改善されないことに驚いている。学校や教育委員会は慣例に甘え、必要な公費として予算確保する努力をしてきたのか疑問だ」と指摘した。 (金沢皓介)

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