無償化対象外、おかず代不安 保育園、新たに徴収業務 「未納でも食べさせないと」

西日本新聞 社会面 泉 修平

元気に遊ぶ園児たち。副食費が直接徴収になり、現場には戸惑いが広がる 拡大

元気に遊ぶ園児たち。副食費が直接徴収になり、現場には戸惑いが広がる

 消費税率10%への引き上げを財源として1日から始まった幼児教育・保育の無償化では、これまで保育料に含まれていた副食費(おかず代など)は無償化の対象から外れ、自治体が担ってきた徴収業務を直接保育園が行うことになった。新たに滞納への対処が必要になるほか、事務負担増も見込まれており、現場からは不安の声が上がっている。

 「滞納した子の給食を出さないわけにはいかない。これまでも絵本代などで保護者から月千円前後を徴収してきたが、集める金額も大きくなる。問題なくできるだろうか」

 約160人の児童を預かる福岡市城南区の信明保育園の高山英樹園長は頭を悩ませる。昼食の主食(ごはんなど)は各園児が持参し、副食を給食として提供する。今月からは副食費として同園が月4500円を実費徴収することになった。

 最大の懸念は「滞納への対応」。これまでは副食費は保育料に含まれて市が徴収していた。滞納があった場合でも市から園に渡される委託費は減額されず、保育や給食の質は確保されてきた。

▼「自腹」負担も

 だが、今後は副食費の滞納分がそのまま園の負担となる。「督促することによって保護者との関係が悪くなる恐れもあり、なかなか言いにくい。1年間滞納すると1人5万円ほど。決して小さな金額ではない」。市によると保育料の未納は年間1億円ほどに上る。

 国は、無償化から副食費を外した理由について「食費を保護者が負担してきた幼稚園や義務教育の学校給食との公平性確保」「在宅で子育てする場合でも必要な費用だ」などと説明する。従来通り自治体が徴収を代行することは「制度上できない」という。

 福岡市内では、副食費の徴収に口座振替を活用する園があるなど、各園が模索する。福岡市保育協会の篠原敬一理事長は「大規模な制度改革で国の対応は遅れた面もあるが、無償化自体はとても良いこと。試行錯誤しながらやっていくしかない」と話す。

■自治体の独自助成じわり

 副食費を巡っては、「子育て支援の充実」や「施設側の負担軽減」を理由に自治体が独自に助成するケースもある。福岡県内では田川市や大任町などが幼稚園、保育園問わず副食費として1人月4500円を上限に施設側に助成している。九州各県によると、長崎県で21市町中6市町、宮崎県で26市町村中3町村が無償化にする方向という。

 秋田県内では半数以上の15市町村が県との共同事業に自治体独自の助成を上乗せして全面的に無償化する。県の担当者は「秋田は全国一の人口減少県。歯止めをかけるための経済的支援になればと力を入れている」と話す。

 一方、人口規模の大きな自治体では今のところ助成の動きは広がっていない。福岡市は第3子以降の副食費は免除しているものの、全児童を対象とした財政支援は行わない方針。市によると、幼稚園、保育園の副食費を全て無償化した場合の費用は年間10億円ほどで「負担が重い」としている。 (泉修平)

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