日本語を学び始めた外国人の多くがつまずくのは、一つの単語が複数の意味で使われる悩ましさだという…

西日本新聞 オピニオン面

 日本語を学び始めた外国人の多くがつまずくのは、一つの単語が複数の意味で使われる悩ましさだという。「アメ」「ハシ」「ミチ」「ハナ」など数限りない。「カンゲン」もその一つ

▼目上の者を諭す忠言は「諫言(かんげん)」。徳川家康は「諫言は一番槍(やり)より難しい」と言ったそうだ。いくら正論でも言い方次第では逆に反発を招く。封建時代には主君に物申すこと自体、命懸けだったろう。戦場で最初に武功を挙げる以上に困難だ、とは奥深い

▼「甘言」という言葉もある。文字通りの甘い言葉で、大抵の場合はよからぬ誘いを持ち掛ける。「諫言」とは反対の意味なのに不思議と同じ読み

▼そして現下は「還元」の大合唱である。国が先頭に立っていることが、どうにもうさんくさい。増税前に約束したムダな歳出見直しや、国会議員の「身を切る改革」はないがしろ。国民の怒りの矛先をそらす戦術のようにも映る

▼それでも庶民はささやかなポイント還元を慈しむのに、関西電力の役員らは原発マネーの大還元。社内で問題視されながら黙殺した可能性も出ている。甘言ばかりに耳が慣れ、諫言は聞き入れにくい体質だったのか

▼記者会見での説明も波紋を広げている。「呪縛から逃れられなかった」「返そうとすると無礼者と激高された」とは。まるで自分たちも被害者と言わんばかりだ。都合よく話を言い換えようとするのなら、言語道断の「換言」だろう。

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