文氏、支持率過去最低に 法相疑惑 若者に失望感 公正掲げる「386世代」政権に逆風

西日本新聞 国際面 池田 郷

 【ソウル池田郷】韓国の世論調査会社は7日、文在寅(ムンジェイン)大統領の支持率が就任以来最低の44・4%となり、不支持率も最高の52・3%に達したと発表した。9月に起用した〓国(チョグク)法相の娘の不正入学など親族を含む疑惑が要因とみられている。韓国社会では1980年代の民主化運動に参加し、公正な社会の実現を掲げる〓氏ら政権中枢を占める「386世代」への風当たりも強まりつつある。とりわけ就職難にあえぐ若い世代の失望感が、支持率低下に拍車を掛けた格好だ。

 「“〓国疑惑”で明るみに出た階層の相続」。韓国紙に9月、こんな見出しの寄稿が載った。筆者は〓氏が教授を務めるソウル大の20代学生。学生は、世論の怒りの背景に「韓国社会の階層化」があり、上流階層が既得権益を子世代に「相続」していると批判した。

 受験競争が激しく、就職で学歴が重視される韓国では、不正入試への視線は厳しい。15~29歳の8月の失業率が7・2%と全世代の3・0%を大きく上回る就職難が、青年層の怒りに拍車を掛ける。今回の調査で文氏の支持率は前週から2・9ポイント下落したが、中でも20代は世代別で最も大きい7・8ポイントも落ち込んだ。

 韓国では90年代以降、当時30代で80年代に大学生活を送った60年代生まれを「386世代」と呼ぶ。この世代は〓氏ら文政権の中核で、左派色が強い。かつて軍事独裁政権を支えた右派勢力や検察組織に対しては、日本統治時代の既得権を不当に継承する存在として批判的だ。

 公正や平等を掲げてきた〓氏に数々の疑惑が浮上して以降は、386世代の政治手法にも批判が向きはじめた。保守系紙は、左派的な政策が経済を低迷させ、日本や米国との関係も悪化させたとして「386世代の流通(消費)期限は終わった」と批判を強める。

 にもかかわらず文氏が〓氏を守るのは、検察改革への執念のためとされる。文氏は盧武鉉(ノムヒョン)政権で民情首席秘書官として検察改革を志したが道半ばに終わった。師と仰ぐ盧氏は退任後、保守系の李明博(イミョンバク)政権下で不正資金を巡る検察の聴取を受けた後、自殺した。

 文氏は7日、〓氏の退任要求デモが続く状況を踏まえ「国民の多様な声を厳しい気持ちで聞いた」と述べる一方、改めて「(民意は)検察改革を切望している」と強調した。

※〓は全て「十」の下に「田」、下に「日」

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