医師2人、NYで原爆歌う 長崎大出身の「インスハート」 体験や患者の人生を曲に 

西日本新聞 夕刊 金子 渡

原爆をテーマに制作した「おばあちゃんののこしもの」を演奏する「Insheart」=2017年8月、長崎市 拡大

原爆をテーマに制作した「おばあちゃんののこしもの」を演奏する「Insheart」=2017年8月、長崎市

Toshiさん(左)とJyunさん

 現役医師2人による音楽ユニット「Insheart(インスハート)」。結成当初は九州での活動が中心だったが、最近は全国規模で活躍中だ。代表曲「瞳の中のあなた」が11月公開の映画の主題歌に決まったほか、今月10日には米ニューヨークで開かれる核廃絶のイベントに招かれ、長崎原爆をテーマにした楽曲を演奏する。「医療で身体(からだ)を、音楽で心を癒やしたい」。彼らの活動は着実に広がっている。

 2人は、形成外科医でボーカル兼バイオリンのToshiさん(31)=長崎県時津町出身=と、精神科医でギターのJyunさん(38)=佐賀県鳥栖市出身。長崎大の同級生で2015年に結成。別々の病院に勤める傍ら、休日限定で音楽活動に取り組み、アルバム4枚をリリースした。

 作詞作曲はJyunさんが担当。医療現場での実体験を基にした歌詞を、4オクターブを操るToshiさんが歌い上げる。バイオリンとアコースティックギターで奏でる優しいメロディーが特徴で、シンガー・ソングライターのさだまさしさんも彼らの楽曲を絶賛する一人だ。

 乳がんの母親とその家族をテーマにした「明日も咲くひまわり」、難病である原発性側索硬化症(PLS)の男性の人生を歌った「わたしへのさよなら」…。患者団体などから依頼を受け、曲を作る活動がテレビ番組で取り上げられたことで知名度が上がり、2年前から東京、大阪でもライブを開催。いずれの会場もチケット完売の人気ぶりだ。

 「病院や施設にいて、ライブ会場に足を運べない人たちにも演奏を聞いてほしい」。今年3月からは週に1度、無料通信アプリLINE(ライン)でライブ動画を配信している。登録者数は約2千人。毎回千人程度が見てくれるという。

 周囲からは「音楽一本でやっていく気はないのか」と度々聞かれるが、2人はきっぱりと言う。「あくまで医師が本業。音楽はできる範囲で続けていきたい」

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 「最初はだまされていると思った。うそだろって(笑)」(Jyunさん)。

 福岡県の大牟田市動物園を舞台にした映画「いのちスケッチ」(11月8日県内先行公開)の主題歌に、代表曲「瞳の中のあなた」が決まった。2人のライブを見た広告会社社員が推薦してくれた。架空の少女を題材に命の大切さをつづった歌詞と、映画のイメージが合致したのが採用の決め手になったという。

 ニューヨークで10日に出演する初の海外ライブは、ヒバクシャ国際署名連絡会が主催する「Hibakusha Appeal-証言とコンサート」。国連総会開催に合わせた市民向け企画の一環で、ニューヨーク市内の教会で開かれる。

 当日は、長崎原爆の被爆者3人に話を聞いて制作した「おばあちゃんの のこしもの」を英語で披露する。2人は「原爆も、ニューヨークで起きた9・11テロも理不尽な暴力で多くの人が犠牲となった点で共通している。曲を通じて平和の重要さを訴えたい」と意気込んでいる。 (金子渡)

福岡市では22日公演

 東京、大阪、福岡の3カ所を回るツアーのタイトル「どっこいしょ」は、日本ダウン症協会福岡支部の依頼で制作した新曲と同名。3会場とも、ダウン症の人たちと手話を交えたダンスを披露する。福岡公演は22日午後2時、福岡・天神のイムズホールで。全席指定4千円。

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