巨木の魅力見つめ直す 宇美町で全国フォーラム 19、20日

西日本新聞 ふくおか都市圏版 後藤 潔貴

宇美町の宇美八幡宮にある、国指定天然記念物の巨木「衣掛の森」 拡大

宇美町の宇美八幡宮にある、国指定天然記念物の巨木「衣掛の森」

福岡市中央区役所の近くにある「飯田屋敷の大銀杏」。約400年前に熊本城から苗木を移植したと伝えられる

 「巨木を語ろう全国フォーラム」が19、20の両日、宇美町立中央公民館で開かれる。環境省が1988年に実施した巨樹・巨木林調査をきっかけに、愛好者や研究者らでつくる「全国巨樹・巨木林の会」が同年から毎年各地で開いている。地域のシンボルとして親しまれたり、「パワースポット」として各地から多くの人が訪れたりする巨木の魅力とは何か。同会福岡県支部会長の佐野義明さん(81)に話を聞いた。

 「前に見たときは、上もあったんですけれどね」

 待ち合わせ場所の福岡市の中央区役所前で、佐野さんが指さした。その先に立っていたのが、巨大なイチョウの木「飯田屋敷の大銀杏(おおいちょう)」。市指定の保存樹で樹齢約400年とされる巨木だが、幹の高さ約5メートルより上部がなくなり、無数のひこばえが茂っていた。

 案内板を見ると、「枯れかかっていたため数年前から再生治療中」とのこと。50~60年後には「ひこばえが成長して、元の巨木がよみがえるはず」という説明書きも。「そのころにはもう私はおらんですなあ」。佐野さんが力なく笑った。

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 佐野さんによると、県内は温暖な気候から、クスの巨木が多いのが特徴とか。

 宇美町の宇美八幡宮には、樹齢2千年を超えるとされるクスノキの「湯蓋(ゆふた)の森」(樹高30メートル、幹回り15・7メートル)と、「衣掛(きぬかけ)の森」(樹高20メートル、幹回り20メートル)がそびえる。どちらも国指定天然記念物だ。見ているだけで圧倒されそうになる存在感。大人気のアニメ映画「となりのトトロ」で描かれた大クスのようだ。

 今回のフォーラムは32回目で、県内開催は初めて。この2本の巨木があることなどから宇美町が候補地に浮上し、来年の町制施行100周年のプレイベントとして開くことになった。

 「今も残っている巨木は先人たちが大事に守ってきたものも多く、その関わりを想像するのもおもしろい」と佐野さん。一方で、「巨木は遠い将来も立ち続けるように思われるが、意外とそうではないのです」。

 佐野さんは県内の巨木115本を紹介した「福岡県の巨樹・巨木ガイド」(梓書院)を2012年に出版。その中には、掲載後の数年間で姿を消したものもある。最近も、糸島市指定保存樹の樹齢千年超とされるイチイガシが台風の影響で倒れたばかりだ。

 永遠に続く命のように思えるが、実際は飯田屋敷の大銀杏のように力強さとはかなさを併せ持つ。それも巨木の魅力の一つだろう。佐野さんは「大会をきっかけに大勢の人に身近な巨木への関心を持ってもらえれば」と期待している。

 (後藤潔貴)

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 第32回巨木を語ろう全国フォーラムのテーマは「歴史をつなぎ、次世代につなぐ、巨木の魅力を『うみ』だそう!」。19日は午後1時からフォーラムがあり、福岡県林業技術者連絡会の福島敏彦会長が講演する。その後、パネルディスカッションがあり、佐野さんらが巨木の魅力を語り合う。農林中央金庫、福岡県森林組合連合会のベンチ寄贈などもある。20日は近郊の巨木を巡る見学会(有料)がある。問い合わせは宇美町社会教育課内実行委員会事務局=092(933)2600。

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