空き家活用 まち再生 「島地7区」構想始動 させぼラボ、カフェ、シェアオフィスに

西日本新聞 長崎・佐世保版 竹中 謙輔

島地クルサの前に立つ岡田文俊さん(左)と指山康二さん。壁に「島地7区-1」の看板を掛けた 拡大

島地クルサの前に立つ岡田文俊さん(左)と指山康二さん。壁に「島地7区-1」の看板を掛けた

3階はシェアオフィスに生まれ変わった

 佐世保市の繁華街にある島地(しまんじ)町で、縫製工場と住宅だった空き家がリノベーション(修繕)を終え、カフェやシェアオフィスに生まれ変わる。手掛けたのは、経営者や市職員の有志でつくる社団法人させぼラボ。たくさんの人が集まる場所にしようと「島地クルサ」と名付けた。これを皮切りに、周辺の空き家を生かしたまちづくりの構想を膨らませる。

 島地クルサは9月末に工事が完了したばかり。鉄骨3階建てと木造2階建てがつながった構造で、1、2階は古い壁や床を生かした内装。窓の枠や鍵、ドアノブは古い物をそのまま残した。縫製工場時代から壁に掛かる「研究工夫 努力精進」の書も「まちづくりを試みる私たちの心境にぴったり」(させぼラボ)と大事にしている。

 既にカフェの入店が決まり、年内の開店を目指す。壁を真っ白にして事務机を並べた3階は、させぼラボや地元大学生のシェアオフィスとなる。まだ空き部屋があり、テナントを募集する予定だ。

 させぼラボは営利ではないまちづくりを目的に、2017年に発足した。最初に着目したのが島地町。買い物客が往来する四ケ町商店街、夜間営業の飲食店が連なる山県町に隣接しているが、空き家が目立つ。

 ラボのメンバーは佐世保市の担当者から空き家対策を学び、識者を招いてリノベーションに向けた勉強会を重ね、今年6月に第1号物件に着手。長崎国際大で地域振興を学ぶ学生も巻き込んで作業を進めた。資金は日本政策金融公庫から融資を受けた。

 まちづくりの理念は明確だ。させぼラボ理事で、県建築士会副会長・佐世保支部長の指山康二さん(70)は「今ある物を生かして、まちをよみがえらせる」と語る。

 佐世保市都市政策課の15年の調査によると、市内にある空き家は5207軒。担当者はラボの取り組みについて「税金を使わず、民間の力でリノベーションを成功させた理想的な形。まちの魅力向上にもつながる」と歓迎する。

 させぼラボは、クルサ島地の玄関前に「島地7区-1」の看板を掲げた。佐世保の「顔」である三ケ町・四ケ町商店街、港に面したさせぼ五番街、古い建物を生かしたカフェや雑貨店が集まる万津(よろづ)6区。島地7区の名前には、これに続き、佐世保市街に新たなにぎわいを生む将来像が込められている。一帯の複数の空き家を活用する交渉が進む。

 「空き家が増えて、多くのまちの中心部が空洞化しているが、中心部ほど権利関係が複雑で手を付けづらい」。させぼラボ代表理事の岡田文俊さん(69)は事業の難しさを踏まえつつ、歴史的意義を強調する。

 「海軍の影響で、佐世保は兵曹文化だと言われた。2、3年で異動する下士官は簡易な家を建て、去るときに壊していた。だが良い物は残し、文化にしたい。今年は海軍佐世保鎮守府開庁から130年。今ある物の価値を見直し、息を吹き込む時期ではないか」(竹中謙輔)

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