代表質問 国会に緊張感を取り戻せ

西日本新聞 オピニオン面

 安倍晋三首相の所信表明演説に対する代表質問が衆参両院で始まった。6月末に先の通常国会が閉会して以来、実に久々の国会論戦である。

 7月の参院選と9月の内閣改造を経て迎える初の国会でもある。激動する国内外の情勢を踏まえ、与野党を問わず国民の負託に応えてもらいたい。

 とりわけ、野党の責任は重大だ。立憲民主党や国民民主党などの野党は共同会派を結成して今国会に臨んだ。衆院120人、参院61人を数え、第2次安倍政権の発足以来、最大規模の野党会派である。

 問題は、この「数の力」をどう生かすかだ。旧民主党勢力の再結集だけでは物足りない。国政調査権を駆使して行政監視機能を強め、国会で政府の姿勢をただす。政策立案能力を磨いて「もう一つの選択肢」を提示する。そんな努力を積み重ねて国民の信頼を回復すべきだ。

 立民の枝野幸男代表は衆院代表質問で、関西電力役員らの金品受領問題や消費税増税に伴う混乱、あいちトリエンナーレへの補助金不交付、かんぽ不正販売報道を巡るNHKの対応など幅広い問題を取り上げた。

 特に枝野氏は「関電の隠蔽(いんぺい)体質と原発利権による資金還流は原発政策の根幹に関わる」として、政府主導で調査するよう強く首相に求めた。

 「原発ゼロ法案」の成立を目指す枝野氏としては最も力を込めた質問だったはずだが、首相は「第三者の目を入れて徹底的に全容を解明することが不可欠だ」と答弁するにとどめた。

 参院代表質問では立民の長浜博行参院議員会長が、森友・加計(かけ)学園問題などを例に挙げ「官僚の忖度(そんたく)が行政の中立・公平性をゆがめている」と長期政権の弊害を指摘した。

 憲法や法律、規則にのっとって国会や予算委員会の開催を要求しても無視する安倍政権を「強権的体質」とも批判した。

 安倍首相は通算の首相在任日数で8月に佐藤栄作元首相を抜いて戦後最長となった。11月には桂太郎元首相を超えて憲政史上最長となる。長期政権に慢心やおごりはないか。国民の視点でそれを厳しく点検するのも、野党の使命といえるだろう。

 何よりも私たちが野党に期待したいのは、「1強多弱」と呼ばれる政治状況下で、ともすれば見失われがちだった緊張感を国会に取り戻すことだ。一つの固まりとなった野党共同会派の結成が政府や与党にも刺激となり、国会本来の政策論議に弾みがつくことが望ましい。

 政権の側も丁寧な国会運営と国会答弁を心掛け、「言論の府」にふさわしい建設的な国会論戦を繰り広げてほしい。

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