自己嫌悪よ、さようなら! 脳科学者が教えてくれる人生に役立つ脳の使い方

西日本新聞

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『あなたの脳のしつけ方』 中野信子 著

 自分は人類史上もっとも集中力のない人間かもしれない。そんな思いに襲われることがしばしばある。いや、“しばしば”程度では済まないかもしれない。原稿の提出が数時間後に迫っているにもかかわらずスマートフォンを手に取る。SNSをチェックする。そして数分後、「俺はダメ人間だ・・」と頭を抱える。その繰り返し。だがこの本を読めば、そんな自己嫌悪ともおさらばだ。

 著者はテレビでもおなじみの脳科学者、中野信子氏。本書は2015年に出版され、ベストセラーとなった単行本を文庫化したもの。集中力、記憶力、判断力、アイデア力、さらにモテ力など、人生のさまざまな場面で必要とされる能力について、脳科学や心理学にもとづいた解決法、トレーニング法を教えてくれる。何より励まされるのは、集中力の欠如をはじめ、優柔不断や記憶力の悪さに悩む必要などないと著者が明快に言い切ってくれていることだ。

 なにしろ、「“集中できない”という状態は、じつは脳科学的には、いたって“普通”のこと」なのだ。理由は生命を維持し、子孫を守るため。もし人間が何事に対しても簡単に集中できてしまうと、周囲に異常が発生しても気付くことができず、場合によっては大惨事に巻き込まれてしまう恐れがある。だから集中力の欠如に悩む人は、「いざというときに人類を救うための能力だ」と思っておくと、少なくとも精神の安定を保つ上では有効かもしれない。

 しかし現実は甘くない。原稿の提出期限は数10分後、にもかかわらず集中できないこともある。本書はそのような場合の解決策もいくつか教えてくれる。そのうちの一つが、あえてキリの悪いところで一旦切り上げること。なぜなら作業中断中も思考は無意識下で動いており、しかも脳にはやり切ったことよりも未達成のことのほうが強い印象として残るため、高い集中力で再開できるからだ。ちなみに、脳のこうした現象をツァイガルニク効果と呼ぶらしい。

 といいつつ、個人的に本書の一番の収穫は、著者自身「奥の手」と語る、誰でも気になる女性を振り向かせることのできる必殺フレーズかもしれない。ただし文字数の都合上、残念ながらここで紹介することはできない。キリが悪くて申し訳ないが、知りたい方は実際に本書を手に取って確かめてほしい・・・と、あなたが本書に興味をもつことを願って、ツァイガルニク効果を利用して締めさせていただくことにする。

 

出版社:青春出版社
書名:あなたの脳のしつけ方
著者名:中野信子
定価(税込):979円
税別価格:890円
リンク先:http://www.seishun.co.jp/book/21320/

西日本新聞 読書案内編集部

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