潜入取材再び!アマゾンを多角的に見ることのできる骨太ルポルタージュ

西日本新聞

『潜入ルポ amazon帝国』横田増生 著 拡大

『潜入ルポ amazon帝国』横田増生 著

 『アマゾン・ドット・コムの光と影』(文庫化時に『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』と改題)『仁義なき宅配』『ユニクロ潜入一年』など、”企業から嫌われるジャーナリスト”と言われる著者がまたもや現場に潜入する。潜入先はGAFAの一角である、世界最大の小売企業・アマゾンだ。圧倒的な品揃えと便利さ、多用なサービスで消費者を魅了し続けるアマゾンだが、その労働現場の実情はどのようなものだろうか。

 1度目の潜入先は、市川塩浜(千葉県)の物流センター。今回、著者が選んだ潜入先は、日本で一番大きな小田原(神奈川県)の物流センターだ。アマゾンはこの物流センターの広さを「東京ドーム約4個分」と表現している。なんと巨大な物流センターなのだろう。センターに勤務するアルバイトたちは、この広いセンターの中を散り散りになって、それぞれの作業に没頭するのだ。第1章では仕事内容や勤務体系、物流センターの食堂の様子などを実際に想像できるほど活写する。

 さらに、即日配送のしわ寄せを受ける宅配業者、悪質なカスタマーレビュー、集客力に物を言わせるマーケットプレイス、先行投資が花開いたAWS(アマゾンウェブサービス)、創業者ジェフ・ベゾスの性格が色濃く表れた節税対策、出版社との直接取引が進むことによる実害など、アマゾンのさまざまな現場に忍び込んでは「巨大企業の光と影」を明らかにしていく。

 本書から、アマゾンは「業績こそ突出しているが、社会的責任を果たすという点においては非常に無責任な会社」という印象を受ける。読み進めるごとにアマゾンに対して言い得ようもない恐ろしさがこみ上げてくる。アマゾンユーザーの中には、このままアマゾンのサービスを利用し続けてよいものだろうか、という疑念を持つ人もいるのではないだろうか。著者曰く、

 ”自社の利益を優先するアマゾンが、日本市場の過半を握る日がきても、利用者であるあなたや私は、後悔しないのか。もう一度、立ち止まって、アマゾンの情報を多角的に集め、分析し、判断することが求められている。”

とのこと。アマゾンで買い物することが悪いとは思えない。だが、全幅の信頼を寄せ、依存していいのかは疑わしい。本書を機に、アマゾンの全体像に目を向け、アマゾンという企業と冷静に対峙したいものだ。

 

出版社:小学館
書名:潜入ルポ amazon帝国
著者名:横田 増生
定価(税込):1,870円
税別価格:1,700円
リンク先:https://www.shogakukan.co.jp/books/09380110

西日本新聞 読書案内編集部

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