日本兵と捕虜、ラグビーの絆 豪州代表モデル小説 著者の増田さん、11日北九州で講演

西日本新聞 ふくおか版 今井 知可子

7月に出版された小説「栄光へのノーサイド」 拡大

7月に出版された小説「栄光へのノーサイド」

 第2次世界大戦前に活躍した日系オーストラリア人ラガーをモデルにした小説「栄光へのノーサイド」(河出書房新社、税込み1760円)の著者で、映画プロデューサーの増田久雄さん(72)が11日、北九州市で講演する。

 主人公ブロウのモデルは、ウィンストン・フィリップ・ジェームズ・イデ(井手)さん。頬を膨らませる癖から「ブロウ」と愛称で呼ばれた。1914年、佐賀出身の父、オーストラリア人の母の間にオーストラリアで生まれた。幼少時にラグビーを始め、39年に全豪代表に。イデさんはイギリス遠征メンバーにも選ばれたが、イギリスへの航海中に第2次世界大戦が勃発。選手たちは到着したものの試合は中止になり、すぐに帰国した。帰国後、選手たちは兵士として戦場へ。イデさんもシンガポールに出征したが、そこで日本軍の捕虜となり、移送中に米軍の攻撃を受けて死亡した。

 映画「チ・ン・ピ・ラ」「ラヂオの時間」などを手がけた増田さんは10年以上前にブロウの存在を知り、映画脚本を書き上げた。だが日米豪に時空を超えて展開するスケールの大きさに映画化は難航。取材を重ねた上で、捕虜収容所で日豪兵士がラグビーの試合で心を通わせるフィクション小説に仕上げた。

 増田さんは「ラグビーに詳しくない自分が、ブロウという人物を知って引き込まれた。ラガーマンの読者からも『ノーサイドの精神を知ってもらえてうれしい』と感想をもらった」と話す。

 増田さんの講演は11日午後6時から、北九州市小倉北区室町1丁目の西日本工業大小倉キャンパス303講義室。参加無料。同大デザイン研究所=093(563)2018。 (今井知可子)

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