米、中国当局者ビザ制限へ ウイグル族弾圧理由に 中国反発、貿易協議難航も

西日本新聞 川原田 健雄 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸、北京・川原田健雄】米国務省は8日、中国政府による新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧に対する制裁として、中国当局者へのビザ(査証)発給を制限すると発表した。弾圧に使われている監視カメラ大手などへの禁輸措置に続く制裁。トランプ政権は香港の民主化デモを含め、中国の人権問題を貿易摩擦に関連付ける姿勢を強めており、10日に再開予定の米中の閣僚級協議が難航する恐れもある。

 ポンペオ国務長官名の発表文によると、ウイグル族などへの弾圧に関与したと認められる中国政府や共産党の当局者について米国への入国を制限する。具体的な対象者は明らかにしておらず、家族も対象となる可能性がある。ポンペオ氏は発表文で中国に対し、弾圧の即時停止と拘束した人々の全員解放、国外に住む少数民族に帰国を強制しないことを求めた。

 ウイグル族弾圧を巡っては、7日に米商務省が監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)など、中国の28の企業や政府機関を対象に禁輸措置を発表したばかり。混乱が続く香港についても、トランプ大統領が7日に「何か悪いことが起きれば、米中の貿易協議にとって非常に悪いことになり得る」と発言した。

 米中貿易協議は、来年の大統領選で再選を目指すトランプ氏が成果を急ぎ、米農産品の輸入増など部分的な「ミニ合意」でいったん収束を図るとの見方がくすぶる。トランプ政権が人権問題を持ち出して対中圧力を強めたのは、こうした観測を打ち消し「目指すのは大きな合意だ」(トランプ氏)との姿勢を鮮明にして協議を有利に運ぶ狙いとみられる。

 これに対し、中国政府は「内政干渉だ」と激しく反発。耿爽・外務省副報道局長は9日の記者会見で「米国が直ちに関連の決定を撤回するよう求める」と訴えた。共産党機関紙の人民日報は9日、「米国がどんなに強いカードを切っても中国はお見通しだ。これまで以上の効果を出そうとしても現実的ではなく、中米交渉は謀略に頼っては突破できない」と批判した。

 香港メディアによると、10日からワシントンでの閣僚級協議に参加する中国の交渉団は、協議の進展が見込みにくいとして帰国日の前倒しを検討。10、11日に予定される協議が短縮される可能性も出ている。

 米国務省の発表を受け、8日の米国株式市場は下落。9日の東京株式市場の日経平均株価も下げ、米中協議の進展への期待が急速に後退している。

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