スコットランドの伝統織物 久留米市美術館で企画展 タータンの歴史たどる

西日本新聞 筑後版 大矢 和世

スコットランド出身のデザイナー、ジョイス・ヤングはタータンでイブニングドレス(左)とウェディングドレスをデザインした 拡大

スコットランド出身のデザイナー、ジョイス・ヤングはタータンでイブニングドレス(左)とウェディングドレスをデザインした

「パンクの女王」ヴィヴィアン・ウエストウッドが1993年に発表したコレクションの服も展示されている

 英国スコットランドで発達した伝統織物「タータン」に光を当てる企画展「タータン 伝統と革新のデザイン」が久留米市野中町の市美術館で開かれている(11月4日まで)。九州ゆかりの近代洋画を軸とする市美術館では異色の企画だが、森山秀子副館長は「久留米絣(がすり)をはじめ、布文化に関心のある人にも見てもらえたら」と意図を語る。

 会場には、色の組み合わせや線の幅の違いにより多彩な意味をもつタータン生地約100点や、スコットランドの歴史や生活を示す銅版画、現代のデザイナーによる衣装、日本への普及を示す資料など計約270点が並んでいる。

 タータンはスコットランド北西のハイランド地方で、日常着として広がった。だが18世紀半ば、イングランドから追放された王族がスコットランドとの連帯を示すため象徴的に用いたのを機に、「反逆の象徴」として40年近く禁止法が敷かれた。その後18世紀末から19世紀にかけ、文化復興の過程で、氏族が家紋のように用いる「クラン」、地域ごとの「ディストリクト」、軍専用の「ミリタリー」など、独自の柄のタータンが発達していった。

 無数にある柄は現在、スコットランドにあるタータン登記所が管理している。「国立公文書館の管轄で、世界中からタータンの登記申請がある。国としてタータンの文化を守っている」と、企画に携わった東京・三鷹市美術ギャラリーの富田智子主任学芸員は語る。

 タータンは日本では「タータンチェック」と呼ばれ、服やパッケージの模様でも親しまれてきた。有名なのは百貨店「伊勢丹」の包装紙だろう。リニューアルされた2013年、柄がタータン登記所に登録されたと話題になった。

 企画展では、同様に制服や小物類など日本企業が登記した「コーポレート・タータン」も紹介。富田さんは「学校の制服など、日本でどうしてここまでタータンが人気なのか、調べてみようと思ったのが企画の始まりだった」と明かす。

 確かに日本でのタータンは、毛織物のぬくもりや制服姿のさわやかさなどが代表的なイメージだ。一方、英国でのタータンは、パンクファッションで用いられるなど「反逆の象徴」とのイメージも持ち合わせている。なぜそのように受容が異なるのか、答えは出ないが、美しい色の重なりを眺めるのも楽しい。 (大矢和世)

 タータン 伝統と革新のデザイン  一般1000円、65歳以上700円、大学生500円、高校生以下無料。12日午後2時にタータン研究家奥田実紀さんの講座「タータンの魅力」がある。先着70人。市美術館=0942(39)1131。

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