朝刊で連載中の平野啓一郎さんの小説「本心」は、近未来の社会が舞台だ

西日本新聞 社会面 内門 博

 朝刊で連載中の平野啓一郎さんの小説「本心」は、近未来の社会が舞台だ。仮想空間内に人間を作るVF(ヴァーチャル・フィギュア)など、近未来を想定した用語がたくさん出てくる。当初は戸惑ったが、読み進んで言葉の概念が分かってくると、毎回続きが待ち遠しくなった。

 とりわけ興味を持ったのが「リアル・アバター」という主人公の職業だ。特殊装置を付けて依頼者の「分身」として外出し、疑似体験を請け負う。前線で取材する記者の原稿を手直しする「デスク」の仕事をしていると、文字通りデスク(机)にへばりついた状態で、各記者の目を通じて社会を見る。そんな経験を日々重ねているからか、主人公の仕事に親近感を覚えた。

 実際に現場に赴いても、何が本当で重要なことか、の判断は難しいが、信頼する記者たちの目にうまく同化しながら、フェイクニュースもまん延する現代社会に相対したいと思う。 (内門博)

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