【動画あり】戦前の木製プロペラ保存へ 九大航空学科の実験装置

西日本新聞 社会面 今井 知可子

ゲッチンゲン型風洞内の木製プロペラを取り外す九州大関係者=10日午前、福岡市東区の九州大箱崎キャンパス(撮影・宮下雅太郎) 拡大

ゲッチンゲン型風洞内の木製プロペラを取り外す九州大関係者=10日午前、福岡市東区の九州大箱崎キャンパス(撮影・宮下雅太郎)

 解体工事が進む九州大箱崎キャンパス(福岡市東区)で11日、工学部航空学科が約70年にわたり使用した「ゲッチンゲン型風洞」の貴重な木製プロペラの取り外しがあった。同大は戦前からグライダー研究では国内トップクラスにある。風洞はその技術を支えてきたが、今月下旬に解体が始まる。木製プロペラは「空に夢を描いた学生らの記憶を残そう」と、同大総合研究博物館で保管される。

 風洞は人工的に風を起こし、航空機や船舶などの模型を使って気流の影響などを測定する装置。箱崎キャンパスには1935(昭和10)年に設置された。2年後に造船学科から分離して航空学科が誕生。歴代の航空学生が研究に使ってきたという。2005年に同学部が伊都キャンパスに移転し、風洞が新設されたことで役割を終えた。

 風を起こすプロペラは現在は金属製が主流だが、箱崎のプロペラは長さ約1メートルの木製の羽根4枚を組み合わせたもの。設置当初のものとみられ、10枚以上の板を圧着し、削って造られている。取り外し作業をした同大工学研究院航空宇宙工学部門准教授の東野伸一郎さん(57)は「戦前は飛行機のプロペラも木製が多く、専門の職人がいた」と話す。自身もこの風洞で実験をしてきた東野さんは、学生たちと2日がかりで分解し、つややかに光るプロペラを取り出した。修士2年の宮園晃輝さん(24)は「とても精巧で、現在では造れない技術だろう」と先人の技に思いをはせた。 (今井知可子)

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